「実際に息を吹きかけるところは見ていない」「時間が少し短かったかもしれない」
問題になり得るのが、機長らが副操縦士の飲酒に関与や黙認をしていなかったかどうか、だ。副操縦士は、ホテルを出てから機内で身柄を拘束されるまで、羽田まで同乗するはずだった機長ら計13人と接触していたが、アルコール臭に気づいたのは、ホテルから空港事務所に移動するバスを運転していた運転手のみだったと説明している。この運転手の通報がきっかけで副操縦士は逮捕されている。副操縦士はバスの運転手のすぐ後ろに座り、その距離は約60センチ。機長は、さらにその1.8メートルほど後ろに座っていた。機長2人は、JALの聞き取りに対して
「今になって思えば、(副操縦士は)自分たちから距離を置くようなそぶりがあった」
などと話したという。
副操縦士がアルコール検査をした際、問題ないことを示す緑のランプがついたことを機長は2人とも確認したという。ただ、ひとりの機長(機長A)は、
「実際に息を吹きかけるところは見ていない」
という。副操縦士は機長Aの直後に検査した。規定では、機長Aの検査から30秒以上待つことになっているが、副操縦士は待たずに検査し、検査前の感知器の感度調整も省略した。もうひとりの機長(機長B)はこのことに気づいたが、
「少し雑な検査だなと思った。しっかり口を感知器に近づけて実施していたので、許容範囲だと考えた。今から思えば、息を吹きかけている時間が少し短かったかもしれない」
と見過ごしてしまった。一連の様子は、機長Aと機長Bがビデオで再現した。