桜田義孝・五輪相は、「謝罪会見」も「しどろもどろ」に?
国会での「しどろもどろ答弁」(ロイターなど)に端を発した桜田大臣の発言問題。今回の謝罪会見では鬼門の「蓮舫(れんほう)議員」も正しく発話でき、無難に乗り切った......ようにみえたが、新たな問題が浮上した。大臣は「(4日前の)1回目(の会見)で謝罪をしている」と述べたが、各メディアは「1回目会見」について「謝罪なし」と報じており、質疑は熱を帯びた。問題はまだ尾を引きそうだ。
今度は「れんほう」読みに成功
桜田大臣は2018年11月13日の閣議後会見で、「質問の事前通告なし」発言による混乱と、蓮舫参院議員(立憲民主党)の名前を「れんぽう」と、連続して間違って読み上げたことについて、「お詫び」の言葉を口にした。
「(用意された資料を読みながら)蓮舫(れんほう)議員の質問通告に関し生じている状況について、(顔を少しあげ、すぐに原稿に目を落とす)参議院予算委員会委員長、理事をはじめ、関係各位にご迷惑をおかけしたことについて、(顔をあげる)お詫び申し(目を落とす)上げたいと思います。また、蓮舫(れんほう)議員のお名前を読み間違えたことに対しても、(顔をあげる)お詫び(目を落とす)申し上げたいと思います」
と、蓮舫議員の名前を読み間違うことなく、資料の読み上げに成功した。5日の参院予算委、9日の「『質問の事前通告なし』発言の撤回」会見でも、「れんぽう議員」と間違えていた。
読み間違いもなく、今回の「謝罪会見」で一件落着......のはずだった。しかし、この後の記者との質疑で新たな問題が浮上してくる。桜田大臣は、前回の9日「撤回会見」で既に「謝罪をしている」との認識を示したが、各メディアは9日会見について、「発言撤回のみで謝罪なし」と報じていたのだ。どちらが正しいのか。
各社軒並み「謝罪はしなかった」
9日会見を振り返ると、桜田大臣は
「(事前)通告が全然なかった、と申し上げたのは、事実と若干違うので撤回させて頂きたいと思っています」
と発言を撤回した。その後、質疑もあった。この会見について、多くのメディアは「発言を撤回。謝罪はなし」と報じた。9日のウェブ版記事をみると、「謝罪はしなかった」(共同通信、朝日新聞、毎日新聞、産経ニュース)「しかし、謝罪はせず」(TBS NEWS)、「謝罪はなかった」(FNN=フジテレビ系、プライムオンライン)、「(略)として蓮舫氏に謝罪しなかった」(読売新聞)といった具合だ。J-CASTニュースも「桜田五輪相『問い合わせ不可』に不満繰り返す~」の記事で、共同通信や毎日新聞などが「謝罪はしなかった」と報じていることに触れている。
一方で、NHK(9日、ウェブ版)では、「謝罪はない」に類する表現は見当たらなかった。なお、「内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局」のサイトでは、五輪担当大臣の会見録を順次公開しているが、13日夕現在、最新は「(18年)10月30日」会見分となっており、今回焦点が当たっている11月9日と13日を含む11月以降の会見分はまだ公開されていない(動画は別途、公開されている)。
「十分な謝罪ではなかったと思いますが...」
この9日会見の位置付けが問われたのが13日の「謝罪会見」だ。先に紹介した「お詫び」発言のあとの質疑で、桜田大臣は
「1回目(編注:前回の9日会見)で謝罪をしている、ということでございます」
との認識を示した。ならばなぜ、この日(13日)の会見で「また」謝罪する必要があったのか。この疑問に対しては、
「十分な謝罪ではなかったと思いますが、謝罪らしきことは言っていると思います」
「やはり十分な謝罪ではなかったのかな、と思います」
と説明。桜田大臣が言う「謝罪」とは、具体的に(9日会見の中の)どの文言なのか。
「ちょっと今すぐには答えられません」
とのことだったが、「今すぐ」でなくてもよいので、次回会見時には説明が必要になりそうだ。
ただ、桜田大臣の「1回目で謝罪をしている」認識に、疑問を呈するような証言もある。13日の情報番組「ひるおび!」(TBS系)で、政治評論家の伊藤惇夫さんは、9日の「撤回会見」時の模様を報告した。桜田大臣が読み上げていた資料について、「裏から、見たんですよ」として、
「下に『お詫び』って書いてあったんですよ、最初。それを赤線引いてですね、多分本人だと思いますけど、『撤回』って書いてるんですよ、書き直しているんですよ」
と明かした。さらに
「そこで(桜田大臣が)妙な意地を張ったのかな、という気がしますね」
ともつけ加えていた。この「ひるおび!」では、八代英輝弁護士が13日の桜田大臣会見について、
「世の中的には今日の(会見)を謝罪と言うんですかね?謝罪文を読んだだけ、のようにしか見えません」
と厳しい感想をもらしていた。
果たして、桜田大臣は9日の「1回目」会見で、「不十分」ながらも「謝罪」の言葉を本当に発していたのか、発していたとすれば、それはどういう表現だったのか。それとも、多くのメディアの「謝罪なし」は誤報だったのか。展開によっては、「謝罪会見」も「しどろもどろ」状態に、ということになり兼ねない。次回会見での説明に注目が集まる。