錦織「修正力」で勝利つかんだ 4年8か月ぶりフェデラー撃破の背景

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   男子テニスの最終戦 Nitto ATPファイナルズが2018年11月11日、英ロンドンで予選ラウンドロビン第1戦が行われ、世界ランク9位の錦織圭(日清食品)が、同3位ロジャー・フェデラー(スイス)を7-6、6-3のストレートで破った。錦織がフェデラーに勝利したのは2014年3月のマイアミ・オープン以来約4年8カ月ぶりで、連敗を6で止めた。

   錦織はこれまでフェデラーと9度対戦して2勝7敗だった。今年は10月の上海マスターズ、11月3日のロレックス・パリ・マスターズで連敗。世界トップの仲間入りを果たしている錦織だがこの4年間、フェデラーの牙城を崩すことが出来ずにいた。

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序盤から攻撃的テニスに徹する

   スロースターターの錦織は、フェデラーとの対戦において第1セットを先取したのは、わずか1度だけ。2013年のマドリード・オープンで第1セットを6-4で奪ったのを最後に、以降はすべて第1セットを落としている。2014年のマイアミ・オープンで勝利した際にも第1セットを3-6で落としてからの逆転劇だった。

「過去2カ月で2度負けているから修正する必要があった」

   これまで錦織がフェデラーに負けるパターンは、立ち上がりにフェデラーの波状攻撃で錦織が必要以上に受けに回り、そのままペースをつかめずに敗れるというものだった。だがこの日は攻めのサーブ、そしてフォアハンドを多用することで、序盤から攻撃的なテニスに徹した。

   正確無比のサーブを誇るフェデラーに劣ることなく、錦織の第1セットのサーブ得点率はフェデラーと並ぶ73パーセント。第2セットはフェデラーの54パーセントを大きく上回る63パーセントを記録した。

   4年前の勝利は、フェデラーのミスによるものだったといわれている。錦織戦まで1セットも落とすことなく勝ち進んだフェデラーだったが、錦織との準々決勝ではイージーミスを連発。常に高い成功率を誇るサーブは、第1セットで38パーセントしか入らず、フェデラーが自滅した形で、錦織が勝利した。

修造「観客は何が起きたのかわかっていなかった」

   だが、この日の勝利は錦織の力でもぎとったもの。サービスキープが続く緊張感の中、得意のサーブ・アンド・ボレーで揺さぶりをかけながら、タイブレークではフェデラーのミスを誘い出して第1セットを先取した。

   テニス解説者の松岡修造氏は自身の公式サイトで、第1セットに錦織が見せたスーパーショットに関して言及。5-6で迎えた第12ゲームの15-30、錦織が右手一本でバックハンドを決めたショットを松岡氏は大絶賛した。

「セカンドサーブをフェデラーがフォアハンドで半端ないリターン...。このポイントを奪われたらこのままフェデラーがセットを取り、敗れていただろう。そこでみせたのがっ!圭 超半端ない!片手バックハンドエース 観客は何が起きたのかわかっていなかった。完全にフェデラーがポイントを奪ったと感じていたからだ」

   両者ブレークを奪い合うスタートとなった第2セット。ストローク戦で勝機を見出した錦織が力強いフォアハンドでポイントを重ねて第6ゲームをブレーク。この日2つめのブレークを許したフェデラーはその後、プレーに精彩を欠き、錦織が勝利を手繰り寄せた。

   フェデラーはかつて次のように言っていた。

「男子の試合では、1つのブレークはよくあることだ。でも2つ目を許した時、何かが上手くいかなくなっていると感じてしまうものだ」

   この日、錦織が見せた「修正力」がレジェンドのミスを誘い、4年8カ月ぶりの勝利をもたらしたのだろう。

全勝優勝なら賞金ベスト5入りも視野

   「勝てたのはほっとした。僕のアイドルと戦うのは簡単ではない。でも、いつも大きな挑戦だ。初戦の難しさはあったけど、2セット目からは良いプレーが出来た」と振り返る錦織。

   錦織が特別な大会という男子テニスツアー最高峰の大会「Nitto ATPファイナルズ」。この大会で獲得できるポイントもさながら、賞金もまた魅力の一つだ。錦織がこのまま全勝で優勝を果たせば、獲得賞金は271万ドル(約3億円)にのぼる。現在、賞金ランキング10位につける錦織は、一気にベスト5入りも夢ではない。

   錦織は11月13日に世界ランク6位のケビン・アンダーソン(南アフリカ)と対戦する。これまで錦織が5勝3敗で、11月のパリ・マスターズでは錦織がストレート勝ちを収めている相性の良い相手だ。アンダーソンに勝利すれば、錦織の予選ラウンド突破が濃厚となる。

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