冷淡だった日本の大手商社
習近平国家主席は輸入博開幕式での演説で、中国はこれからさらに開放し、15年間で40兆ドル(約4500兆円)の製品、サービスを輸入することを表明した。誰もが知っている通り、中国政府が主催した輸入博はただの商業プロジェクトではなく、むしろ、政治色の濃いイベントだった。この40年間続いてきた「輸入より輸出重視」という傾向が逆転しつつあることを海外にアピールし、中国の「開放」イメージを世界に示すことが最大の狙いだった。
私は輸入博期間中にずっと上海に滞在し、展示を見に行った。ひとつ意外だったのは、日中貿易の主役のはずの日本の大手商社の不在だった。伊藤忠商事のブースはあったが、最後まで三菱商事、三井物産の展示を目にしなかった。
おそらく「40兆ドルの輸入目標」などについてはまったく情報はなかったし、そもそも「輸入博はただの商業プロジェクトではない」という点にも理解が及ばなかったかもしれない。それにしても、日本の商社が、これほど中国事情に疎くなるとは―――。