ここ数日、世間を賑わせている「BTS原爆Tシャツ問題」。
世界的な人気を誇る韓国のヒップホップアイドルグループ「防弾少年団(BTS)」のメンバーの1人が、日本への原爆投下の写真がプリントされているTシャツを着ていたことが物議を醸し、2018年11月9日の「ミュージックステーション(Mステ)」(テレビ朝日系)への出演が前日になって急遽見送りとなった。
この騒動、韓国の主要メディアはどのように伝えているのか。
東スポを「極右性向メディア」
「朝鮮日報」(日本語版)は10日、「Mステが防弾少年団出演見送り、『原爆Tシャツ』を問題視」と題した記事を公開。Mステ出演見送りの理由を「日本の極右勢力」がBTSの番組出演に抗議したためだと思われる、と指摘した。
また東京スポーツの10月26日の報道にも言及、東スポを「極右性向メディア」と位置付けた。
名指しされた東スポの記事では、例の原爆Tシャツが韓国のインターネットニュースで10月中旬に紹介されていたことや、リーダーのRMが2013年の光復節(解放記念日)に「今日は光復節。歴史を忘れた民族には未来はありません」とツイートしていたことに触れ、「あまりに非常識」「反日姿勢を隠すことがない」などと批判的に取り上げていた。
そもそも「原爆Tシャツ」が日本で注目を集め始めたのは、10月中旬ごろ。SNSでの話題を「ZAKZAK」など複数メディアが取り上げたほか、高須クリニックの高須克弥院長もツイッターで反応するなどして拡散していった。
そのため東スポが初出というわけではないのだが、朝鮮日報では東スポの報道が騒動の背景にあると考えているようだ。記事では他に、日本国内のSNSで批判派と擁護派の意見がぶつかり合っているとも伝えている。
出演見送りは「日本メディアの難癖」
「中央日報」(日本語版)も名指しこそしないものの、今回の出演見送りの原因を東スポの「難癖」だとみているようだ。
9日付記事のタイトルは「『防弾少年団が反日グループ?』 日本メディアの難癖で、Mステ出演が突然見送りに」。記事では「最近、ある日本メディアが、メンバーのジミンが過去に着たTシャツを取り上げて防弾少年団が『反日活動』をしていると報じたことに伴うものとみられる」とした。
ちなみにこの中央日報は、東スポの記事が出た数日後に「"嫉妬した"日本、防弾少年団の揚げ足取り? 原爆Tシャツ『非常識』」というカウンタ―記事を掲載。この時は名指しで東スポを批判していた。
比較的穏やかに取り上げているのが「東亜日報」(日本語版)。「日本放送の出演前日にキャンセル通知を受けたBTS」という記事を10日に掲載した。
出演見送りの理由については「一人のメンバーが1年前に着ていた光復節(日本植民地からの独立記念日)関連Tシャツが波紋を起こしたという理由から」と説明しているが、SNS上で物議を醸していたことや日本メディアの報道については特に触れていない。
その一方で、11月7日に発売されたBTSのニューシングルについて言及し、「発売から3日間で日本国内で40万枚近くが販売され、人気を得ている」と説明。変わらず人気が高いことを示しているのが印象的だった。