不確定性嫌う人間の心理
不合理な物言いだとは分かっていても、ついつい指摘したくなる「晴れ女・雨女」「晴れ男・雨男」。この心理について、経営コンサルタントで心理学博士の鈴木丈織氏は以下のように指摘する。
「人間の特徴の1つとして『偶然性や突発性を嫌う』という傾向があるからです。この傾向は当然ながら、良い出来事よりも悪い出来事に対して強く働きます。人間は古来から災害などの人間の力ではどうにもできない出来事を『神罰』『仏罰』などの形で神仏の怒り、あるいは、魑魅魍魎の仕業にしたりしてきましたが、これらは『災害の発生は実は必然だった』という意味付けを行い、少しでも精神の安定を図るためなのです。雨が降るというのは程度が過ぎれば災害になりますから、滞りなく行われるべき芸能人のイベントと雨が結び付けられるのは人間の心理からは自然なことです。その結果、『雨女・雨男』と名指しされる芸能人が出てくるのでしょう」
また、このような意味づけをすることは、実は、人間の心理の根底に根差したものだともいう。
「『雨女・雨男』などと位置付け、雨でイベントが中止になるという『悪い結果』を覚悟しておくことで、本当に雨でイベントが中止になった際に受ける心理的ダメージを軽減することができます。これは、我々人間がより良く生きるために無意識のうちに行っている知恵とでも言えるものです。これが肥大化すると、雨乞いなどの呪術やシャーマニズムに発展するのです」
一見すると不合理な物言いの「雨女・雨男」だが、その正体は魂の平安を保つべく行う「儀式」なのかもしれない。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)