シリアで解放されたフリージャーナリストの安田純平さん(44)が2018年11月9日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で会見した。
安田さんが帰国後に会見するのは、11月2日の日本記者クラブに続いて2回目。終始神妙な表情で、笑みなどを見せる場面はなかった。
改めて日本やトルコ政府に対して「おわびしますとともに深く感謝申し上げます」と述べたが、会場からは「謝罪する必要はあったのか」という指摘も出た。
国境なき記者団「安田氏が謝罪を強いられたことは受け入れられない」
安田さんは日本記者クラブでの会見同様、冒頭発言で
「今回、私の解放に向けてご尽力いただいた日本、トルコ、カタールをはじめとする多くの皆様方、ご心配いただいた皆様におわびしますとともに深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました」
と、各国政府や関係者への感謝と謝罪を表明。行方不明になっている他のジャーナリストの早期解放を願った上で、改めて日本政府への謝罪の言葉を口にした。
「今回、私自身の行動によって、日本政府を当事者にしてしまったという点について、大変申し訳ないと思っています。今回、何があったか可能な限り説明することが私の責任であると思っています」
ただ、この謝罪には異論も出ている。国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は11月6日、東アジアオフィス担当役員名で
「命のリスクを負ってシリアの悲劇について同胞に伝えようとしていた安田純平氏が謝罪を強いられたことは受け入れられない。安田氏は困難を耐えたことに対して英雄として歓迎されるべきだ」
だとする声明を出している。この声明を念頭に、記者からは
「本当に謝罪する必要はあったのか」
といった声もあがった。
「皆さんのご批判をいただいて、今後に生かしていくために」
安田さんは
「報道の仕事、ジャーナリストの仕事が政府であったり権力にコントロールされるものではない、という(質問した記者が指摘した)ことに全面的に賛成いたします」
とした上で、謝罪は今後のための「ごあいさつ」のような意味合いがあると説明した。
「今回、謝罪と言いますか、私自身の行動に、いくつかのミスがあったことは間違いないので、この点について皆さんのご批判をいただいて、今後に生かしていくために、まず、ごあいさつと言いますか、ご批判をいただくにあたって、お詫び申し上げますということを申し上げている」
今後の活動については、「現場に行くかは白紙」だとしながらも、自身を拘束したグループが何者なのかが明らかになっていないため、「真相の究明は絶対必要」だとしている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)