マタニティマークのお母さん、「出産」していた? 「母子のためのお薬手帳」に子を抱く姿

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   妊娠中であることを示す「マタニティマーク」のデザインには、「続き」があった――? そんな説がツイッター上で話題を呼んだ。マークに描かれている妊娠中の母親が、「母子のためのお薬手帳」では出産して我が子を抱いた姿で描かれている、というのだ。

   確かに2つの絵柄は特徴が似ているが、実際にストーリー性を意図して描かれたのか。手帳の制作元に聞いてみた。

  • 「母子のためのお薬手帳」の表紙(写真提供:なみの(@syatikuzyanai)さん)
    「母子のためのお薬手帳」の表紙(写真提供:なみの(@syatikuzyanai)さん)
  • 「母子のためのお薬手帳」の表紙と、マタニティマーク(写真提供:なみの(@syatikuzyanai)さん)
    「母子のためのお薬手帳」の表紙と、マタニティマーク(写真提供:なみの(@syatikuzyanai)さん)
  • 「母子のためのお薬手帳」の表紙(写真提供:なみの(@syatikuzyanai)さん)
  • 「母子のためのお薬手帳」の表紙と、マタニティマーク(写真提供:なみの(@syatikuzyanai)さん)

「産まれた赤ちゃんを幸せそうに抱くお母さん...!」

   ツイッターユーザーの「なみの」さんが「マタニティマークのお母さん、赤ちゃん無事産んでた!!!!」と投稿したのは2018年10月25日のことだ。アップした「母子のためのお薬手帳」の表紙画像には、笑顔で医師の検診を受ける母親と乳児の姿が描かれている。

   この母親の絵が、マタニティマークで描かれている胎内に子を宿した母親と類似。そのため、マークで妊娠していた母親が無事に出産し、子育てしている姿なのではないかというわけだ。

   投稿者はマタニティマークがデザインされたストラップと、母子のためのお薬手帳を並べた画像もアップ。「こうやって並べるとヤバい...妊娠中のお腹の赤ちゃんを愛しむお母さんと産まれた赤ちゃんを幸せそうに抱くお母さん...!」と感慨深くつづっていた。

   マークと手帳のストーリー性を指摘する一連の投稿は話題を集め、

「あらほんとだ あのマークのお母さん」
「元気に子育てしてると思うと、嬉しいですね」
「なんだか知人が出産したような嬉しい気持ちになりました」

といった感動の声が続々。はじめの投稿は2万2000のリツイート、7万6000超の「いいね」がつき、反響が広がっている。

   「なみの」さんはJ-CASTニュースの11月2日の取材に応じ、母子のためのお薬手帳を見た時は「『あ! 赤ちゃん産まれてる~!』というのが第一印象でした」と述べた。そして、

「実は手帳の中のデザインでお母さんのお腹が大きい時のイラストもあります。自分の娘が今、約2か月なのですが、なんとなく重なり、なんだか幸せな気持ちになりました」

と心動かされたことを明かした。マタニティマークのストラップは居住する札幌市の保健センターで母子手帳(母子健康手帳)とともに交付され、「母子のためのお薬手帳」も保育園の資料をもらいに行った際に保健センターで配られたものだという。

デザイナーは同一人物

   それにしても「母子のためのお薬手帳」、制作側は「マタニティマークの母親が出産した姿」を意図して描いたものなのか。J-CASTニュースは制作元をたどった。表紙に書かれている日本医師会を取材すると、広報担当者は「そちらの手帳はNPO法人ひまわりの会が発行しているもので、日本医師会は後援団体としての依頼を受けたという関係になります」と話した。

   「ひまわりの会」は、マタニティマークのステッカーも発行しているNPO法人。そこで同会を取材すると岩田文雄事務局長が応じ、「『母子のためのお薬手帳』は当会が2017年から全国にお配りしているものです。マタニティマークとの統一感を出そうという考えから、同じデザイナーさんに依頼してデザインしてもらいました。それでイメージが類似したものになっています」と明かす。デザイナーは同一人物だ。

   だが、

「当会としては『医師の検診を受けている親子』というリクエストでデザインをお願いしていました。なので、ご指摘のようにマークと手帳のストーリー性を要求したわけではないんです。ただ、言われてみれば成長した姿に見えますね。デザイナーさんの方でそうした連続性を考えて描いていただいた可能性はあると思います」

ということだった。そのデザイナーについては、「個人的にツテをたどってお願いしたもので、ここしばらく連絡を取っていない」という。

   マタニティマークは、妊婦への社会的配慮を喚起するための方策として厚生労働省が05年にデザインを公募し、06年に誕生したもの。同省が定める「使用規程」によれば、営利目的の場合など一部例外を除いて、「厚生労働省及び厚生労働省の職員以外の第三者は、マタニティマークの趣旨に基づいた場合に、自由に使用できる」(第3条)ことになっている。

   デザインは恩賜財団母子愛育会・埼玉県支部の応募デザインが選ばれたが、上記のとおり12年前だ。同支部事務局が置かれている埼玉県に聞いたが、デザイナー本人はすでに母子愛育会に所属していないと聞いている、としていた。

   岩田さんによれば「母子のためのお薬手帳」は現在、全国9割以上の市区町村や保健所の窓口で配られている。機能は一般的な「お薬手帳」と同様だが、「『お薬手帳』は診療科ごとに分けるなどして皆さん何冊か持っていることがあります。そこで『母子のためのお薬手帳』は、妊娠から子どもが6歳くらいになるまでの期間は1冊に集約して使えれば便利と思い、制作しました」とのこと。母親の欄と子どもの欄に分かれており、1冊で2人分記録ができる。今回、ツイッター上で話題になっていることを伝えると、岩田さんは「非常に嬉しいですね。ありがたいことです」と話していた。

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