デザイナーは同一人物
それにしても「母子のためのお薬手帳」、制作側は「マタニティマークの母親が出産した姿」を意図して描いたものなのか。J-CASTニュースは制作元をたどった。表紙に書かれている日本医師会を取材すると、広報担当者は「そちらの手帳はNPO法人ひまわりの会が発行しているもので、日本医師会は後援団体としての依頼を受けたという関係になります」と話した。
「ひまわりの会」は、マタニティマークのステッカーも発行しているNPO法人。そこで同会を取材すると岩田文雄事務局長が応じ、「『母子のためのお薬手帳』は当会が2017年から全国にお配りしているものです。マタニティマークとの統一感を出そうという考えから、同じデザイナーさんに依頼してデザインしてもらいました。それでイメージが類似したものになっています」と明かす。デザイナーは同一人物だ。
だが、
「当会としては『医師の検診を受けている親子』というリクエストでデザインをお願いしていました。なので、ご指摘のようにマークと手帳のストーリー性を要求したわけではないんです。ただ、言われてみれば成長した姿に見えますね。デザイナーさんの方でそうした連続性を考えて描いていただいた可能性はあると思います」
ということだった。そのデザイナーについては、「個人的にツテをたどってお願いしたもので、ここしばらく連絡を取っていない」という。
マタニティマークは、妊婦への社会的配慮を喚起するための方策として厚生労働省が05年にデザインを公募し、06年に誕生したもの。同省が定める「使用規程」によれば、営利目的の場合など一部例外を除いて、「厚生労働省及び厚生労働省の職員以外の第三者は、マタニティマークの趣旨に基づいた場合に、自由に使用できる」(第3条)ことになっている。
デザインは恩賜財団母子愛育会・埼玉県支部の応募デザインが選ばれたが、上記のとおり12年前だ。同支部事務局が置かれている埼玉県に聞いたが、デザイナー本人はすでに母子愛育会に所属していないと聞いている、としていた。
岩田さんによれば「母子のためのお薬手帳」は現在、全国9割以上の市区町村や保健所の窓口で配られている。機能は一般的な「お薬手帳」と同様だが、「『お薬手帳』は診療科ごとに分けるなどして皆さん何冊か持っていることがあります。そこで『母子のためのお薬手帳』は、妊娠から子どもが6歳くらいになるまでの期間は1冊に集約して使えれば便利と思い、制作しました」とのこと。母親の欄と子どもの欄に分かれており、1冊で2人分記録ができる。今回、ツイッター上で話題になっていることを伝えると、岩田さんは「非常に嬉しいですね。ありがたいことです」と話していた。