JBC「どのようなルールで行われるか分かりませんが...」
今回の一戦でボクシングルールが適用されたとしても、正式な記録として残すためには超えるべき多くの課題がある。メイウェザーVSマクレガー戦において、マクレガーにライセンスが下りたのは米国のボクシングシステムによるものが大きく、日本ではいくつかの段階を踏まなくてはならない。
ジム制度が確立されている日本では、プロライセンスを取得するにあたり日本ボクシングコミッション(JBC)が認可する日本のジムに所属しなければならない。そして、JBCによるプロテストを受験して合格すればライセンスが交付される。
ライセンスは、A級(8回戦以上)、B級(6回戦)、C級(4回戦)に分類され、アマチュア経験のないボクサーは通常、C級のテストを受ける。高校や大学で全国レベルの実績を残したボクサーがB級テストを受けるケースも見られるが、A級は五輪のメダリストレベルの実績がなければ受験できず、2012年ロンドン五輪金メダリストの村田諒太選手でさえ6回戦からプロキャリアをスタートさせている。
メイウェザーはすでに米国のライセンスを所持しているため、日本のリングに上がることは可能だが、正式なボクシングの試合として成立させるためにはまずは那須川のライセンス取得が急務となる。アマチュアの実績がない那須川選手が取得可能なライセンスは事実上C級となり、実施されても4ラウンドが上限となる。
また、ボクシングの試合として成立させるには、体重差の問題やコミッションドクター、レフリー、タイムキーパーの派遣など根本的な問題が数多く浮上する。
日本ボクシングの統轄機関であるJBCは18年11月7日、J-CASTニュースの取材に、
「今回の試合がどのようなルールで行われるか分かりませんが、那須川選手がプロライセンスを持っていないので、現時点でボクシングの試合であるという認識はありません。格闘技の大会でボクシングの試合が1試合だけならば、原則、ボクシングの興行としては認められません。おそらくアメリカでもボクシングの正式な記録としては認められないのでは」
と回答した。
ボクシングルールが適用されれば、圧倒的な不利な立場に立たされ、たとえ勝利したとしても正式な記録に残らない「幻の一戦」となる可能性が高いが、それでも那須川は「ボクシングルールでも構わない」と男気を見せる。
一方のメイウェザーは、ルールに関して一切言及していない。