シリアで拘束されていた安田純平さんが帰国してから10日あまり。渡航をめぐる「自己責任論」は、まだくすぶっている。
そんな中、一貫してバッシングから擁護しているのが、テレビ朝日解説委員の玉川徹氏だ。2018年11月5日の「羽鳥慎一モーニングショー」でも、日本が「村社会」だとして、自己責任論への非難を続けている。
「村のおきてに背いて...」
玉川氏はこれまで、ジャーナリストは民主主義を守るために存在するとの立場から、自己責任論を批判し続けてきた。最初は安田さんの解放が伝えられた翌日の10月24日、自己責任論について「僕は否定しておきたい。釘を刺しておきたい」とし、
「民主主義が大事だと思っている国民であれば、民主主義を守るために色んなものを暴こうとしている人たちを『英雄』として迎えないでどうするんですか」
と主張した。
続く11月1日の放送では、玉川氏の発言に懐疑的な元大阪市長の橋下徹氏と「対決」。共演者の高木美保さんから「(英雄発言は)フライングだったと思う」と指摘され、「ネットでバッシング起きていたから発言した」「逆に、安田さんを苦しめているなら、フライングは真摯に受け止めたいと思う」などと釈明している。
そして5日の番組で玉川氏は、橋下氏との討論などを受け、週末に考えたことを振り返った。
「村のおきてに背いた奴は村八分だ。そういう風なことなんだろうなと僕、理解しました。いまだに『村社会日本』なんですよ。結局、政府が止めたのに行って、こういう目にあって、助ける必要がないなんて言うのは、村のおきてに背いただろと。村のおきてに背いて、お前そんなことになってるんだから、村は助ける必要がない。まさにそういう風なことだろうと」
「脱亜入欧はできていない」
その後、羽鳥慎一キャスターが、過去の類似事例をもとに、海外からの声を紹介する。フランスでは「大統領が出迎えた」、イギリスでは「批判するという発想はありません」。しかし韓国では「『無謀だった』と激しい非難。自己責任論が起きた」との反応だったと説明すると、玉川氏はこうコメントした。
「民主主義とか個人主義が成熟している国では、こんな(自己責任を問う)話、起きないんですよ。実は日本も韓国も、いまだに社会が『村社会』なんですね。そういう風な国の特徴だろう、と。この『自己責任論』ってのは。ああ、なるほどそういうことかと(納得した)。実は日本の中で、今回バッシングなんかをしている人の結構な割合の人は、韓国とか嫌いな人たちです。ところが、やってること(非難)は、韓国とまったく一緒のことやってるんです」
そのうえで、自分と違う意見の人を認めず、「気に入らない奴は、村から出ていけ」と言うのは、民主国家として成熟できていないからとし、日本は明治期に富国強兵をしたが、いまなお「脱亜入欧はできていない」と指摘した。
石原良純「(「ネット見なきゃいい」は)それは無理ですよ」
また、石原良純さんとのやり取りでは、「ネットなんか見なきゃいいんですけどね! 本当は」とも発言。石原さんが、
「それは無理ですよ。電車に乗ってみたら、10人いたら、僕以外の人間はみんな、こう(スマホを操作するジェスチャーをしながら)やってましたよ」
と反論すると、玉川氏は「だから、『僕(石原さん)』は見ないんでしょ? 見なきゃいいんです」とキッパリ。「僕はだって......スマホ持ってないから」と、石原さんが苦笑する一幕もあった。
なお、安田さん関連ニュースの直後は、『三省堂現代新国語辞典 第六版』に、「バズる」「草」といったネット用語が収録された話題が。そこで「エゴサーチ」をしているか振られると、玉川氏は「しない。したら、だって......嫌になっちゃうもん」と答えていた。