メイウェザー「RIZIN参戦」の理由 日本市場と「ビジネス」の関係

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   プロボクシングの元世界5階級制覇王者、フロイド・メイウェザー(米国)が、大みそかにさいたまスーパーアリーナで行われる格闘技イベント「RIZIN14」に参戦することが2018年11月5日、発表された。キックボクシングの「神童」那須川天心と対戦する。ルールは未定。

   1年4か月ぶりとなるメイウェザーのリング復帰が発表されると、そのニュースはすぐさま世界を駆け巡った。米スポーツ専門局ESPN(電子版)は、「フロイド・メイウェザーJr、12月にRIZINデビュー」との見出しで速報し、米ABCニュース(電子版)などでも大々的に報道された。

  • フロイド・メイウェザー(写真はインスタグラムから)
    フロイド・メイウェザー(写真はインスタグラムから)
  • フロイド・メイウェザー(写真はインスタグラムから)

「そんな中途半端なお金では成立しないのは間違いない」

   当初、メイウェザーの復帰戦は、米ラスベガスでUFC王者ハビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア)との一戦が有力視されていた。両者はSNS上で舌戦を繰り広げ、10月中旬にメイウェザーが対戦へ向けてゴーサインを出したばかりで、来春にも異種格闘技戦が行わる見込みだった。

   メイウェザーが公言している通り、ヌルマゴメドフ戦が行われれば、メイウェザーのファイトマネーは100億円を超えると想定される。RIZINの榊原信行・実行委員長によると、那須川戦は世界中でライブ放送を予定しており、海外ではペイ・パー・ビューシステムによるテレビ放送となりそうだ。

   ファイトマネーに関して榊原委員長は「想像にお任せしますけど」と話した上で、「そんな中途半端なお金では成立しないのは間違いない」と巨額のファイトマネーを匂わせたが、ヌルマゴメドフ戦以上のファイトマネーは見込めないだろう。

   理由のひとつとして挙げられるのは、世界的にみて那須川が無名な選手であることと、放送時間だ。

   これまでキックボクシング、総合各特技を通じて無敗を誇る那須川は、海外で世界的な選手と戦った経験がない。米国ではボクシング、UFC、プロレスなどの格闘技は人気だが、キックボクシング人気はこれに大きく及ばない。

   また、榊原委員長によれば、那須川戦は日本時間のプライムタイムに合わせての放送となり、米国では早朝となる。これらの要因を考慮すれば、ペイ・パー・ビューの売り上げが、ヌルマゴメドフ戦を上回る可能性はかなり低いだろう。

   現時点でルールについては公表されていないが、昨年メイウェザーが元UFC王者コナー・マクレガー(米国)と対戦した時にボクシングルールを適用したことから、今回もボクシングルールで行われるとみられる。

   ルールを度外視しても、ウエルター級のメイウェザーと、フェザー級の那須川の体重差は10キロ近くあり、現実的に競技として成立するかは大いに疑問が残るところ。ボクシングルールで公式戦とするには、那須川のボクシングライセンス取得が必須で、やはり現実的ではない。

   榊原委員長が「メイウェザーは今回、万が一、天心にKOされた時に、1敗とは書かないと思います」との見解を示したように、今回の一戦はエキシビションマッチとしての色合いが濃い。

   対ヌルマゴメドフ戦ほどの多額のファイトマネーは見込めず、公式戦とも認められないリングになぜメイウェザーは上がるのか。それは今後の日本におけるビジネス展開にありそうだ。

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