北方領土問題「踏み込んだ」理由
―― 5月の党首討論では、ほとんどの野党が「もりかけ」を追及する中で、玉木さんは北方領土問題など独自路線で、最後に安倍首相が握手しに来たのは印象的でした。
玉木:あれはあんまり言えないんだけど...。総理は我々を(野党と与党の中間の)「ゆ党」路線に印象づけるために来た、とよく言われますが、実は総理が何を言ったかというと、日ロのことをささやきに来たんです。その時々のトピックを取り上げるのも良いのですが、特に党首討論というトップ同士が議論する機会なので、一番根っこの国益の議論を、しかも実は安倍外交は半分行き詰っていると思っていますので、そこをギリギリと突いたわけです。そうしたら、やっぱりある意味ヒットしたんですよ、総理には。だから「それはやばい」と思ったのか、痛いところを突かれたなと思ったのか、まあ若干言い訳をしなきゃいけない感じで来たんですよ、実はね。
―― 先日の代表質問でも日ロ関係を取り上げ、「2島の先行引き渡しを、4島返還の突破口として実現する」可能性に言及しました。
玉木: かなり政治家として踏み込んだことを自覚しながら言っています。4島返還はもちろん、日本がずっと維持してきた方針で、苦労して「国後択捉にも領土問題がある」と認めさせながらここまで来たというのは先人の知恵です。ただ、もう元島民の6割が亡くなって平均年齢83歳という中で、原則論の4島だけにこだわって物事が本当に解決するのか。そのなかで、経済共同活動だって金だけとられて終わりじゃないか、経済活動すればするほど実効支配を認める、というようなことになったら取り返しがつかない。そういう中で、(平和条約締結後に当時のソ連が歯舞、色丹を日本に引き渡すとした1956年の)日ソ共同宣言の原点にひとつ戻って、それこそ「新たなアプローチを超える新たなアプローチ」を、そろそろ模索すべきではないか、ということを総理に提案したわけです。