繰り返される政府関係者の発言
10月19日、副首相の劉鶴をはじめとする4人の政府高官が株式大暴落に対し、やはり相変わらずの判断を示した。「中国経済はとても健全で、問題はあるものの大きなものではなく、株式市場の現在の下降状況は経済の基本面を反映したものではなく、投資家の自信不足に過ぎない。そのため、恐慌ムードに圧倒される必要はまるでなく、みなが自信をもてば、見通しは明るくなる」と語ったのだ。
これは長年繰り返されてきた発言だ。株式市場の高騰は中国経済の高速発展の証明であり、株式暴落は単なる民間投資家の自信不足あるいは「錯覚」の恐慌である、というのだ。
A株は極めて多くの方面で事実上、すでに中国で最も市場化された分野である。中国株式が時々刻々と実体経済と一致するわけではないものの、その意義からすると、やはり中国の現在の経済の姿をよく反映しているものといえる。
国家統計局のデータによれば、2018年1~8月の全国の一定規模以上(年間収益が2000万元以上)の工業企業の利潤総額は4兆4248億7000万元で、前年同期比16.2%増であった。そのため多くの公的研究機関は、「経済は実際にはそれほど悪くない」と表明した。
しかし、一定規模以上の工業企業のうち、国有持株企業の利潤総額は前年同期比26.7%増で、集団所有制企業の利潤総額は3.2%増、株式制企業の利潤総額は20.1%増、外国企業および香港・マカオ・台湾投資企業の利潤総額は7.6%増、私営企業の利潤総額は10%増であった。つまり、本当に利潤が増えた企業は国営企業だけで、彼らがこのデータを支えているのであり、外国企業や民営企業の成長は良い状況にはほど遠いということである。
招商銀行チーフエコノミスト・丁安華氏の研究論文によると、2018年1月~8月の工業企業利潤の成長速度は、実際にはマイナス8.1%であった。