「ポイントカードはお持ちですか?」。店員からの呼びかけに、財布からプラスチックのカードを取り出す――。コンビニなどの店頭でよく見られるやり取りだが、このところ状況が変わりつつある。
電子マネーやクレジットカードでのキャッシュレス化が進む中で、ポイントカードもまた「カードレス化」の道を歩んでいるのだ。
LINEの中に「Ponta」「Tポイント」が共存
LINEは2018年10月31日、新機能「マイカード」をスタートした。これはLINEのアプリ上に、ポイントカードのバーコードを表示させるもの。開始時には、ロイヤリティ マーケティング(LM)の「Ponta」や、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の「Tポイント」のほか、アパレルメーカーを中心に9サービスに対応している。
LINEの発表によると、PontaとTポイントが1つのモバイルウォレット(電子的な財布)に集約されるのは、今回が初めてだという。これまでは、共通ポイントの各陣営がそれぞれアプリを用意して、ホーム画面にアイコンがズラリと並ぶことも多かったため、利便性は向上しそうだ。
なかでもTポイント陣営は、標準の「Tポイント」アプリに加えて、TSUTAYA、ファミリーマート、すかいらーく、オートバックス、洋服の青山など、提携先に応じた別のアプリを多数ラインアップしている。また、CCCは16年から、LINEのマイカード同様に、1つのアプリに複数ポイントサービスをまとめられる「スマホサイフ」も提供。ここにはTポイント以外に、マツモトキヨシや一風堂、つぼ八といったポイントサービスの他、モスバーガーのプリペイドカードも参加している。
iPhoneをかざせば、Pontaがたまる
Tポイントと対をなすPontaも、18年11月7日から、新サービスを導入する。「Apple Pay」に対応し、全国のローソンでポイントの付与や利用が、ここ数年に登場したiPhoneやApple Watchをかざすだけで出来るようになる。
LMによると、共通ポイントがApple Payに対応するのは国内初。アプリを起動しなくてよくなるだけでなく、Apple PayにクレジットカードやSuicaなどを入れている場合には、一度かざすだけで決済とポイント付与が、同時に行われるようになる。これまでも、おサイフケータイに対応する「モバイルPonta」はあったが、iPhoneでも画面表示が不要になるのは便利だ。
なお、ローソンではPontaの他に、NTTドコモの「dポイント」にも対応しているが、こちらにもスマホ版カードがある。また、Ponta陣営にもスマホサイフと似たようなサービスとして、リクルートの「SHOPlier(ショプリエ)」があり、ビックカメラや丸善ジュンク堂(honto)、メガネスーパーなどが参加している。
消費増税が追い風になるか?
二強以外はどうか。楽天ポイントカードは、楽天が提供する各種アプリに搭載されていて、QRコード決済「楽天Pay」のアプリ上でも使える。ちなみに楽天は11月1日、KDDIとの業務提携を発表。その計画には、楽天の加盟店網を利用した決済サービス「au PAY」(19年4月開始予定)もあり、もしかするとauユーザーが楽天スーパーポイントを貯める場面も増えるのかもしれない。
一方で、イオンの「WAON POINT」や、JR東日本の「JREポイント」など、スマホに対応していないものも依然としてある。また、チェーンでない中小店では、資金面から、従来のスタンプカードなどを使い続けることもあるだろう。財布が薄くなるまでには、まだ時間がかかりそうだ。
そんなポイントカードとスマホの関係だが、追い風になりそうなのが、19年10月に予定されている10%への消費増税だ。政府は増税分の2%について、キャッシュレス決済を条件に、ポイントでの還元を検討している。消費者がメリットを受けるには、クレジットカードやICカード、QRコードでの支払いが必要となる。クレカは別だが、スマホの電子決済を使うのであれば、ポイントカードも1台で済ませたいと考える人は多いのではないだろうか。