シリアで解放されたジャーナリストの安田純平さん(44)は、記者会見後もテレビ各局を精力的に回って、危険地域に入った自らの責任などに対して釈明した。
結果的に身代金が支払われたのではとの疑問がネット上で噴出しているが、安田さんは、その疑問についても自らの考えを明かした。
「交渉の結果、帰すのであれば、虐待をする必要ない」
安田さんは2018年11月2日、日本記者クラブで予定を1時間半上回る、実に2時間半にわたる会見を行ったのち、相次いで主要各局の取材に応じた。
各局では、まず安田さんの健康を気遣う声が出て、安田さんは、体調はいいものの、運動不足で筋肉が落ちてやせたと明かした。
テレビ朝日系報道番組「スーパーJチャンネル」に2日夕、生出演した安田さんは、インターネットを見たりして、帰国後3日間はほとんど寝られなかったとも告白した。
40か月の間、日本の状況を知らなかったので、ネットを見ることから離れられないほど神経が高ぶっていたという。同時に、ネット上で続いていたバッシングからも、何らかの考えを持つようになったようだ。
安田さんによると、犯行グループは、2016年の後半ぐらいから、「フリーダム」という言葉を使って安田さんを日本に帰すことを伝えてきた。ただ、スパイ行動を疑うなどして、寝たまま身体を動かせないような虐待もするようになったという。
その間に、身代金についての交渉が行われていたかについて、安田さんは、「分からない」としながらも、「交渉の結果、帰すのであれば、そんな虐待をする必要ない」と疑問を呈した。
そして、身代金の支払いについて、否定的な考えを述べた。
「もし身代金支払いがあったら、見合う人間か悩む」
カタールが多額の身代金を支払ったと在英シリア人権監視団が主張したことを聞かれると、安田純平さんは、次のように自らの見方を話した。
身代金支払いについては、根拠がはっきりせず、4日前に解放されたものの政治的事情で発表が延びたと人権監視団が言ったことは事実でないという。家族からの質問に答えるといった生存証明は、2016年1月以降「それに値するものは取られていない」とした。
安田さんは妻の深結(みゅう)さんとともに、11月2日夕のTBS系報道番組「Nスタ」にも生出演、身代金の問題について自らの考えを明かした。
身代金によって命が助かる人がいればそれでいいと思うとしながらも、もし安田さんのために身代金が支払われたとしたら、自分がそれに見合う人間なんだろうかなどと悩むと説明した。取材にために危険地帯に入るかも含めて、「考え方も変わるかもしれないですね」と話した。
虐待を受けて絶望的な気持ちになったときは、「シリアの難民がヨーロッパに大量に出ていることを聞いていましたし、もっと違う取材の仕方もあったということも考えた」という。
このほか安田さんはフジテレビ系「プライムニュース イブニング」にも生出演、また収録でNHKの取材に応じたほか、日本テレビ系報道番組「news zero」への生出演も予告されている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)