「近くで見るととても愛らしいです」
描いたのは18年の夏。日本は酷暑となり、北米大陸が原産のシンリンオオカミにとって体調が危ぶまれた。「避暑のため屋内と屋外を自由に行き来できるようにしていたので、ご来園のみなさまに見えづらいタイミングがある、という看板を出す必要がありました」という。そこで絵も描いた。
「来園客に理解を求める内容だったため、文字だけではちょっと素っ気ないかと思い、絵をそっと添えさせてもらいました。3秒くらいでササッと、何気なく描いたという感じですかね。看板を見やすくする、『句読点』みたいなものです」
画風は特に「ねらった」わけでもない。「絵の技術なんて全くないものですから、これが僕のマックスです。絵心がないと言われれば...それに尽きますかね」とこぼす。
ただ、イメージとしては「ポップでキャッチーな感じにはしたかったです」と考えていた。それは、動物に対する深い理解と愛情がバックにあるようだ。
「オオカミと聞くと『恐ろしい』というイメージもあると思いますが、近くで見るととても愛らしいです。虫なんかも食べますし、一頭一頭性格も違います。ビクビクしているオオカミもいて、見ていただくといろんな表情をするのが分かると思います。意外に可愛いんですよね」
これまで片岡さんが同園で描いた絵は5点ほどあるといい、今もいくつか園内に掲示されている。かつて鳥類担当だったころには、アカコンゴウインコの「赤岡(あかおか)さん」というキャラクターを考案してイラストを描き、園のブログやYouTubeチャンネルにも頻繁に登場させていた。当時からの経験として「動物の魅力を伝えたい時は、看板で真面目なことを真面目に表してもダメだなという印象を持っていましたので、真面目にふざける、というような考えはありますね」と話しており、それが今も生かされているようだ。