安倍晋三首相が2018年10月30日、NHKの受信料について「値下げを含む受信料水準のあり方について不断に検討を行ってもらいたい」と述べ、議論を加速させるように求めた。同日午後に衆院本会議で行われた日本維新の会・馬場伸幸幹事長の代表質問に対する答弁で述べた。
馬場氏はスポーツ番組や娯楽番組はスクランブルをかけて「見ない人の受信料を下げる」ことも提案したが、安倍首相は直接の答弁は避けた。
「見ない人の受信料を下げることで、国民の負担を軽減すべきではないか」
馬場氏は、政府の規制改革推進会議で携帯電話料金の引き下げが議論されていることを引き合いに、「むしろ下げるべきはNHKの受信料ではないか」と問題提起した。
NHKの17年度の決算(単体ベース)によると、テレビ4波とスーパーハイビジョン試験放送の制作にかかった経費(各家庭に電波を送るための送出・伝送経費、ラジオ番組の制作費などを除く)は3446億円。そのうち最も多いのが「報道・解説」(1113億円、32.3%)で、「スポーツ」(700億円、20.3%)、「ドラマ」(324億円、9.4%)、「生活社会情報」(303億円、8.8%)が続く。馬場氏は、番組の種類によってはスクランブルをかけて、見たい人だけが視聴料を払ってみられるようにすべきだと主張した。
「例えばスポーツ番組や娯楽番組は、有料契約者だけが放送を見ることができるよう、スクランブル放送をすること、公共放送機関としての役割を整理し、見ない人の受信料を下げることで、国民の負担を軽減すべきではないか」
総務省もネット配信と引き換えに値下げ検討求める
安倍氏はスクランブル化の是非については直接言及せず、合理化を通じて受信料値下げの検討を求めた。
「NHKにおいては、その経営が国民・視聴者が負担する受信料の支えられているとの強い認識を持ち、徹底して国民・視聴者目線に立った業務の合理化、効率化、ガバナンス改革に全力で取り組んでもらわなければならない。そうした努力を重ねることで、NHKには値下げを含む受信料水準のあり方について不断に検討を行ってもらいたいと考えている」
受信料をめぐっては、番組の常時ネット配信を認める条件として総務省が値下げの検討を求めており、NHKの上田良一会長は10月12日の会見で、値下げの方針を明らかにしていた。値下げが実現すれば12年10月以来2回目。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)