日本野球広報事務局は2018年10月29日、「2018日米野球」のメジャーリーグ選抜のベースコーチに松井秀喜氏が就任したことを発表した。松井氏は現在、ヤンキースGM特別顧問を務めており、11月8日に行われる古巣巨人とのエキシビションゲームでコーチデビューする。
マーリンズのドン・マッティングリー監督率いるメジャー軍団で最も知名度、実績があるのは、2009年から7年連続でオールスターに選出されたカージナルスのヤディエル・モリーナ捕手。話題性でいえば、ポストシーズンで史上最年少となる満塁本塁打を放ったナ・リーグ新人王候補のロナルド・アクーニャJr.外野手(ブレーブス)だろう。
前田健太投手も参加
ただ、今年の顔ぶれをみると例年比べて地味な印象は否めない。そこで主催者がサプライズとして用意したのが松井氏のコーチ就任と、ドジャースの前田健太投手の追加発表だ。
この2人の参戦は日本のプロ野球ファンには朗報だが、日米野球の醍醐味はメジャートップの選手を目の前で見ることが出来ることにある。過去を振り返ると、日米野球にはそうそうたるメジャーリーガーが出場してきた。
日米野球の歴史は古い。初めて開催されたのが1908年、明治41年のことだった。メジャーの選手と3A選手の混合チームが来日し、早大、慶大をはじめとする日本のチームと対戦。開幕戦では大隈重信氏が始球式を務めた。
以降、不定期ながら大正、昭和と歴史は続き、1986年から全日本選抜とメジャー選抜が対戦する現在の形となった。
過去にはベーブ・ルース、ルー・ゲーリック、バリー・ボンズも出場
日米野球史で、史上最強のメジャー軍団といわれたのは1934年の選抜チームだ。打撃陣はベーブ・ルース氏、ルー・ゲーリッグ氏、ジミー・フォックス氏が顔をそろえ、剛速球で知られるレフティ・ゴメス投手が日本チームを封じ込めた。この年、メジャー選抜は16戦全勝と、圧倒的な強さを見せた。
また、1996年にはドジャースの野茂英雄氏、マイク・ピアッツァ氏をはじめとし、バリー・ボンズ氏、カル・リプケン氏、ケン・グリフィー・Jr氏らドリームチームが来日し、大きな話題となった。
シーズンオフの一大イベントも2006年で一度中断される。日本プロ野球選手会は「(日米野球は)一定の役割を終えた」とし、07年以降の日米野球の参加を見合わせる意向を示した。
クライマックスシリーズの初年度となる2007年を翌年に控え、選手の負担を減らすためのものとみられ、その一方で06年から始まったWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、日本代表とメジャーリーガーを擁する米国代表が対戦する場が出来たことで、日米野球の役割が終わったということだろう。
日米野球が再開したのは2014年。WBC日本代表の強化試合との位置付けで、メジャー選抜を招いて試合を行った。そして今年が強化試合の第2弾となる。
田中将大投手、ダルビッシュ有投手、大谷翔平投手らの活躍もあり、今やメジャーリーグは日本にとってより身近なものとなった。メジャーの試合中継も過去に比べると格段に増え、テレビ画面を通じてメジャーの迫力を見ることが可能になった。
松井氏のユニフォーム姿や、前田選手の凱旋はファン待望の明るいニュースだろう。その一方で、メジャーのスター選手が揃わない日米野球には今後、改善の余地がありそうだ。