安倍晋三首相は2018年10月25日から27日にかけて中国を訪問し、習近平主席と会談した。過去の会談では、両首脳の背景に国旗が用意されないなど冷遇ぶりが目立ったこともあったが、今回の会談では習氏の表情も比較的穏やかで、「雪解け」を印象付けた。
ただし、国営メディアは日中首脳会談よりも習主席の地方視察を大きく扱っており、訪中で「厚遇」されたかは議論の余地がありそうだ。
2012年には反日デモで燃やされた日の丸が...
日本の首相が訪中するのは、国際会議への出席を除くと2011年の野田佳彦首相以来、7年ぶり。12年9月に日本政府が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化したのを機に中国各地で反日デモが起き、日系商店が襲撃されたり、日の丸が燃やされたりして日中は最悪の時期を迎えていた。
今回の訪中では、その日の丸が天安門前に掲げられ、6年前とは対照的に友好ムードを演出。普段は日本に対して厳しい論調の人民日報系メディア・環球時報も2日連続で社説に日中関係を取り上げ、その内容も
「この30年間、中国と日本は浮き沈みを経験し、多くの経験や教訓を得てきた。両国は、友好関係を促進し争いを減らすための、さらに安定した心理的枠組みを構築すべきだ」(10月25日)
「日本が『普通の国』になるための最大の障害は、間違いなく米国からのものだろう。我々は、それでも日中関係改善の機運については楽観的だ」(10月26日)
と前向きだ。10月27日付の人民日報は日中首脳会談の写真を1面に掲載。背景には日中の国旗が映り込み、両首脳の表情も比較的穏やかだ。