タカ派だと受け止められてきた自民党の稲田朋美・総裁特別補佐(筆頭副幹事長)が、ソフト路線に急転回して「復活」を目指している。
自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が「新潮45」への寄稿でLGBTなど性的少数者について「生産性がない」などと批判した問題では、その内容を批判。2018年10月29日に衆院本会議で行われた代表質問でも、多様性の確保は「政治家として取り組むべき最も基本的な課題」と述べた。
世界から尊敬される「道義大国」訴え
稲田氏は安倍晋三首相にスカウトされる形で05年の衆院選に出馬し、初当選。日報問題などで17年7月に防衛相を引責辞任し、表舞台から遠ざかっていたが、18年10月の内閣改造で党総裁特別補佐と筆頭副幹事長に就任。本会議の代表質問には党のトップが立つのが慣例だが、異例の形で抜擢された。
代表質問では、憲法改正の必要性を強調したのに続いて、多様性を守る意義に触れた。「選択と実行のための果断な決定」には多数決が必要だとしながらも、そのデメリットにも言及した。
「多数決は少数であったり、声を上げたくても上げられない人々の意見を十分にすくい上げることが難しいという側面もある。であるからこそ、私たちは政治家一人一人が、様々な国民の皆様の声を聞き、政治に生かしていかなければならない」
その上で、
「昨今、女性、障害者、LGBTなど社会的にマイノリティとされる方々に対する国民の関心が高まっており、社会の多様性の確保が重要な課題となっている。また、これらは何よりも人権にかかわることであり、世界から尊敬される『道義大国』を目指すため、そして、希望にあふれた社会をつくるため、与野党の垣根なく、政治家として取り組むべき最も基本的な課題だ」
などと訴えた。