区長コメント「到底許せるものではありません」
ところで、もし31日の当日、車に乗って渋谷エリアに入り、「群衆に取り囲まれた」場合はどう対応すればいいのか。今回は、運転手は車外に出て無事だったが、うかつに外に出ると、かえって危険を招く可能性も考えられる。状況は大きく異なるため、どこまで参考になるかははっきりしないが、たとえば、「あおり運転」の被害にあった際の対応としては、青森県警や鹿児島県警のサイトなどによると、「車から降りることなく、ドアロックをして110番通報をする」(鹿児島県警)と、車から出ないことを勧めている。渋谷区に29日、「どう対応すればいいのか」と質問したが、
「たいへん危険な犯罪行為で、警察の範疇の話であり、行政自治体としては、対応方法は申し上げにくい」
「参加する人のマナーに訴えるとともに、トラブルに巻き込まれる可能性を含めた情報収集にもご注意いただきたい」
とのことだった。ある警察関係者に同じ質問をすると、あくまで個人的な感想だとして「ケースバイケースで、(どう対応すべきかは)一概には言えないのではないか」と話していた。
一方、車を倒して壊す行為が罪に問われるのは当然として、車を「取り囲んで」交通を妨害する行為はどうなのか。交通事故などを巡る問題などに詳しい「しみず法律事務所」(東京都中央区)の清水卓弁護士に話を聞いた。
清水弁護士によると、道路交通法(道交法)では「道路における禁止行為等」が定められており、「道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しゃがみ、又は立ちどまっていること」(かな表記は一部変更)という具体的な禁止事項も明記されている。今回の渋谷のケースは詳細な状況がはっきりしないためコメントは難しいが、一般論として、「立ちどまって」車を取り囲むなどしてこの禁止事項に違反すれば、「5万円以下の罰金」に処される可能性がある、と注意を促した。
果たして、31日の夜は「平穏で節度あるハロウィン」となるのか。29日発表の区長メッセージでは、犯罪行為やルール・マナー違反をしている人たちについて、
「(健全に楽しんでいる方たちなどの)努力や思いを踏みにじる一連の行為は、到底許せるものではありません」
と強い表現も交えて、マナー順守を「お願い」していた。