東京・渋谷でハロウィンに際して一部の人々が「暴徒化」した問題に批判が渦巻く中、お笑いタレントのカンニング竹山さんは「この状況を生んだのは我々メディアだ」と釘を刺すように持論を展開した。
竹山さんは2018年10月29日の「ビビット」(TBS系)に出演。無関係な軽トラックが集団に取り囲まれ、横転させられた事件についても言及する場面があった。
「初日の出暴走」あおったのと同じ構図?
10月最後の週末となる27日夜、渋谷は仮装した人々であふれるとともに、問題行動も確認された。路上に大量のゴミが捨てられ、暴行・盗撮・痴漢の疑いで逮捕者も複数人出ている。
竹山さんは「ビビット」で、「日本の『ジャパニーズハロウィン』はただの仮装フェスティバルだから目的がない。よくわからないまま仮装することが楽しいし、騒ぎたくてみんなでインスタグラム(にアップするための写真)を撮りたいとか、目的がわからない祭りになっている」と示すと、
「考えないといけないのは、ここ5年くらいでこの状況を生んだのは我々メディアだということ。これは止まらないですよ、楽しいから」
と、お祭り騒ぎを例年伝えてきたメディアの責任に言及した。
そこで被害の拡大を防ぐ対策として提案したのは、その「逆」だった。
「騒いでいた人は、我々が煽ってきた当時は中学生くらいだったと思います。それが大人や大学生になってみんなで楽しめる、といってこうなった。だから、逆に今から5年くらいかけて『こういうのはダサいよ、ダメだよ』というカルチャーを我々メディアで作っていかないといけない」
竹山さんは1989年ごろから流行した「初日の出暴走」の事例を挙げている。
「かつて正月に初日の出暴走が流行りました。メディアでバンバン煽ってましたよね。また暴走族が~と。でも今は昔よりやらなくなりました。なぜなら『ダサい』から。(同様に)今の小中学生にもわかるように、こういうのはダサいんだよというのを作っていかないといけいない」
「軽トラックを倒した子、いますよね」
実際、情報番組などでは、27・28日の週末を前にハロウィンに触れる機会も多かった。
たとえば、25日「バゲット」(日本テレビ系)では、市場規模でバレンタインデーをしのぐまでになったことと合わせ、「親子孫の3世代で楽しめる、日本を代表する記念日に成長したハロウィン」と紹介。26日「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)では、気象予報に際して「週末はハロウィンイベントでコスプレ姿で参加すると気分はルンルンです。ただ夜は寒くなります」といった伝え方をしている。
もちろんこれら自体は、「暴走」そのものをあおるようなものではないが、「目的がわからない祭り」盛り上げに寄与したことは確かだ。
一方で渋谷ハロウィンには例年多数の人が集まる。番組では堀尾正明さんが「今は自治体が少子高齢化で若者や外国人が来ないという中で、羨ましい限りじゃないですか」と切り出すと、「終電というより明け方までにして、渋谷はハロウィンウィークはすべて若者ウェルカムにする、規制はしてルールは守り、警察官もたくさん配置する、という態勢にしていいと思います」と大胆な提案をした。
だが、竹山さんは「堀尾さん、それをやるとしたらね...」と口を挟んだ。「朝までというのは楽しいと思うし賛成は賛成だけど」と前置きしながら、こう注文した。
「軽トラックを倒した子、いますよね。これ素人さんだから顔隠していますけど、全部さらけ出して、メディアの責任としてこの子たちを全部マスコミに出さないといけないですよ、逮捕しないといけない。その代わり、悪いことをしたらこうなるということは、ちゃんとやらないといけない。犯罪だから。そこまでやる覚悟が、警察にもメディアにも我々市民にもあるならやっていいと思う。」
28日未明、渋谷センター街を通行しようとした一般の軽トラックを、暴徒化した若者らが取り囲み、荷台に乗り込んだ上、持ち上げて横転させた事件は、ネット上でも動画が拡散され、大きな批判を浴びた。運転者は横転の前に降車していたというが、器物損壊の疑いで警視庁が捜査中という。竹山さんは「ただただ『この日は騒ぎましょう』と言ったら、絶対に同じことは起きてくる」とも述べている。
ハロウィンの過熱ぶりとメディアの関係については、竹山さんの発言とは別にネット上でもここ数日で指摘があった。ツイッターでは、
「ハロウィンの愚行が話題だけど、バカな連中も問題だけどメディアの責任もあると思うよ?」
「渋谷のハロウィンやサッカーの試合後の騒ぎがだんだん酷くなってきているけど、メディアが取材に行くからあんな事になるのでは?」
「ハロウィンの暴動、今の若者たちは~って言われがちだけど、今の若者が形成されるまでハロウィンのどんちゃん騒ぎを作り上げたのもメディアとかで煽ったのも今の大人なんだよなーって」
といった声があがっている。