「若者と高齢者を分断するな」
若者も高齢者もおおむね、この動画の「皮肉」や「ユーモア」を好意的に受け止めているようだが、批判の声もある。
「我々高齢者こそ、公民権運動のために闘ってきたのに、バカにしないで」、「若者と高齢者、どちらも茶化した失礼な内容だ。これで投票する若者が増えると思っているのか」、「若者と高齢者を分断するな」、「若者にもトランプ支持者はいるし、トランプに批判的な高齢者も多い。ステレオタイプを助長している」
制作団体の代表は、「笑いやユーモアで、動画が注目されることが大事。たとえ批判があろうと、人々が感情的になるとしたら、成功と言えるのでは。これを見て投票に行く気になったという報告を多く受けている」と話す。
ツイッターやフェイスブックで、「若者よ、この動画を見て」と呼びかける人も少なくない。
この団体はほかにも、中間選挙に向けてスパイク・リーのいとこ、映画監督のマルコム・D・リーにコメディ動画三本の制作を依頼した。いずれも、「投票しないという白人を、黒人が警察に通報する」(通常なら黒人が白人に通報されることが多いというアイロニー)コメディで、「人種差別的」との批判も受けている。
リーは、「多くの人の自由が奪われている現状を何とかしないと。議員への電話や寄付はしてきたけれど、自分の才能を生かしてできることを探していた」という。
全米の大学や街角で盛んに若者に投票を呼びかけ、有権者登録すればコーヒーやMOCHI(日本の餅が今、アメリカで大人気なのだ)を無料で配るなどのサービスも行っている。若者の投票を促すことを学校の教職員に誓約させるサイトも誕生、必要であれば授業スケジュールの変更や欠席を認めることもその内容に含まれている。
中間選挙投票日まであと9日。成果は見られるのか、大いに注目される。(敬称略。随時掲載)