「不器用太陽」デザイナーはトイレで泣いていた
――14年の紅白で披露した「不器用太陽」(14年)では、サビの部分で赤いスカートが飛び出す「早替え」演出で、視聴者をあっと言わせました。
茅野:14年は「SKE48・NMB48」としての出場で、持ち時間は1分30秒ずつ。しかも、「不器用太陽」はバラード。前半と後半では、印象に残るのはたいてい後半の出演者なので、前半に出てくるSKE48は不利です。さらにNHKの紅白担当者が言ったのは「男性の方が、その後盛り上げて次につながるような演出です」。SKE48からすれば「それ、絶対持っていかれるよ!」となりますよね。それで「サビで何かやらないと難しい」となって、デザイン担当者に「悔しくないの?絶対NMB48に持っていかれるよ?SKE48出てたの?って言われるよ?」とはっぱをかけて、「回転する瞬間に早替えを1秒でする」という難題に臨みました。リハーサルでは1回も成功せず、デザイナー本人はトイレで「絶対成功しない」って泣いていたのですが、「見る義務があるから見なさい」といってモニターの前に連れていきました。
――本番では大成功でした。
茅野:この人たちがすごいのは、SKE48は本番に強いんですよ。本当に何事もなかったかのように成功させる。視聴者からすると「えっ、今の何?」ってなるじゃないですか。そうなるとSNSでも話題になる。回転の瞬間をキャプチャーした画像も、多くネット上に出回りました。早替えがうまくいくのは「私はやれる!」という気持ちなので、それがみんなひとつになった。SKE48がすごいのは、ひとつになる瞬間はすごくパワーを生むという点です。
須田:「不器用太陽」の時のどよめきは忘れられないです。持ち時間は短かったし、その日は持ち前の「全力ダンス」でSKE48らしさを出せるわけでもなく、体力的に頑張ることは何もなくて、「集中」のみでした。衣装をパッってやった瞬間に、NHKホールの客席が「すごい!」とどよめいて拍手が起きて、その時に「よし!」と思いました。私たちは緊張感を持ってやっただけですが、衣装さんが私たちを輝かせてくれました。
――12年の「パレオ」でのバク宙のために何か工夫はあったのですか?
茅野:回転したときに、ちゃんと裏側もスカートとして成立しているように、一時停止されても大丈夫なようになっています。絶対に(スカートの中が)見えない、恥ずかしくないような見え方になっています。
―― 18年9月18日の「うたコン」(NHK)で披露したAKB48の「センチメンタルトレイン」(18年)では、須田さんの特技の軟体を生かした「逆でんぐり返し」で、スカートの中を気にするファンもいました。
須田:「特技や自分をアピールできるものをやってください」と言われて、「軟体か握手しかないです」となって「ぜひ軟体で」と。かぼちゃパンツで、スカートの中が見えても「あっ、パンツ!」とならないようになっています。インナーパンツも色々あって、どの角度からも見られても大丈夫になっています。いつも衣装さんには助けられています。