AKB48グループの特徴のひとつが、その個性的な衣装だ。2017年に『AKB48 衣装図鑑 放課後のクローゼット ~あの頃、彼女がいたら~』が発売され、その詳細な内容が評価されて9万部を売り上げた。これに続く形で、18年9月には名古屋・栄に拠点を置くSKE48の衣装を紹介した『SKE48衣装図鑑 全力制服』(宝島社)が発売された。
SKE48は48グループの中でもダンスが得意なことで知られ、衣装にもそのための工夫がこらされている。SKE48メンバーの須田亜香里さん(26)、小畑優奈さん(16)、菅原茉椰さん(18)と、AKB48グループの衣装デザインを出がけてきたオサレカンパニーの茅野しのぶさんに、その魅力を語ってもらった。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 工藤博司)
メンバーの「物語」知る「ファン」が衣装を作る
――須田さんは握手会での「神対応」でも知られますが、J-CASTニュースのツイッターにも「いいね!」をつけたり返信したりで、メディアにも「神対応」です。社内には「釣られる」人もいます。
須田:うそー!引き続き、よろしくお願いいたします。
――AKB48に続いての「衣装本」です。皆さんはAKB48の「選抜メンバー」にも選ばれたこともありますが、AKB48とSKE48の衣装で何か違いを感じることはありますか?本の中のデザイナー座談会では、「縫製はすべて二重縫い」とあります。SKE48の方がダンスが激しい分、衣装も丈夫に作ってある印象です。
須田:言われて気づきました。「今日は丈夫にしたよ!」なんて言われないから分からないんですけど、確かにAKB48の方が繊細な気がします。ちょっと暴れたらちぎれてしまいそうな、チュールやレースがあしらわれていることが多いです。SKE48の衣装の方が、ひっかかりにくいデザインになっていたり、座ったり立ったりしたときにスカートのすそを踏んでしまっても破れないような丈夫なものになっていたり...。
小畑:確かにシンプルで丈夫だなって気づきました。
茅野:一番の彼女たちの魅力は、ステージに立っているときと、降りた時の差が一番大きいグループだという点です。普段はおとなしいというか、人見知りが多い。なるべく踊りやすいように、なるべくメンバーの思いをくみ取って表現できるようにしています。あとは、名古屋の衣装部がSKE48の「ファン」なんですよね。普通の会社なら異動がありますが、彼女たちは「断固拒否」。衣裳部屋には、普通にメンバーの写真が貼ってある。オタク部屋ですよね。
だーすー(須田さん)は最初は推されてなくて、後ろのポジションでした。でもすごく当時から実力はあるし健気に頑張っていました。総選挙で2位になった後に撮影したこともあり、SKE48に入って初めての劇場公演で袖を通したこの(「制服の芽」公演の)衣装を載せたくて。だーすーを当て込んだんじゃなくて、だーすーにこれを着せたいから、この衣装にしました。それぞれのグラビアページには、実はこの衣装本用のセンターの子がいるんです。「オキドキ」(11年)だったら、ちゅり(高柳明音さん=26)とか。『AKB48 衣装図鑑 放課後のクローゼット ~あの頃、彼女がいたら~』の時は、秋元(康)さんと私が撮影メンバーを決めたのですが、『SKE48衣装図鑑 全力制服』は、結構、名古屋の衣装スタッフの意見も取り入れて決めています。一番近くにいる「ファン」が、メンバーの「物語」を知っていますからね。
――SKE48の衣装が一番多くの人の目に触れると言えそうなのが地上波の番組だと思います。特に、12年に初出場したNHK紅白歌合戦で披露した「パレオはエメラルド」(11年)は、須田さんがバレエの回転技を成功させたのに続いて、藤本美月さん(23=13年卒業)によるバク宙、全員によるラインダンスと盛りだくさんでした。衣装ではどんな工夫があったのでしょうか。
茅野:すでにAKB48は出場していたので、単に「AKB48と何が違うの?名古屋の子なの?」と思われたのではもったいないと思いました。そこでダンスの先生と「AKB48がやらないことをやった方がいい」と相談したんです。演出としては「大人数でも動きが揃う」ことを打ち出すことになったので、衣装としても、お茶の間で見ていても分かりやすく「なんか布が出てきた」「今、波みたいになったね!」と、言えるようなコンセプトでした。AKB48は大衆的なグループなのに対して、SKE48はもっとレベルアップして、ダンスやフォーメーションを見せる、ちょっとアクロバティックな部分を持っているグループなんだと世間に伝わればいいと思いました。