「天然水」など好材料も
また、トクホの販売本数が減っている。一度習慣がつけば続けて買ってもらえるものだが、日々新たな健康食品が世に出る国内で定着するのはなかなか厳しいようだ。サントリーBFは8月6日に発表した2018年6月中間連結決算の短信で「『特茶』を中心にマーケティング活動に注力したものの前年同期を下回りました」と認めた。
ここで、2018年6月中間連結決算を改めて確認しておこう。売上高は前年同期比3.9%増の6138億円、営業利益は3.5%増の563億円、純利益は20.1%増の413億円だった。一見さほど悪くないようだが、全売上高の半分を超える国内事業は売上高が2.0%増の3338億円でセグメント利益は23.7%減の189億円に落ち込んだ。「サントリー天然水」など伸びたものもあるが、缶コーヒーやトクホの苦戦が響いたうえ、物流費の高騰なども利益を圧迫したようだ。ベトナムなどアジアで飲料が伸びて全体として何とか営業増益になった。また、アジア事業で食品子会社株式の100億円程度の売却益があったことが純利益を押し上げた。
この中間決算などを受けてこの間、JPモルガン以外にも野村証券や大和証券など各社が目標株価を引き下げ、それが株価低迷につながってもいる。SMBC日興証券は9月7日付リポートで目標株価を4660円から4000円に下げるとともに、3段階の投資評価を真ん中の2(中立)から最下位の3(弱気)に格下げした。理由として「国内外ともに大手との競争激化で収益面の悪材料が増える状況」を挙げた。「トップライン(売上高)が伸びても利益が伸び難い状況が続こう」(同証券)との見方が広がる中、株価低迷を脱するのは容易ではなさそうだ。