経団連会長の執務室にパソコンが初めて設置されたと、読売新聞が連載記事の中で報じ、ネット上で驚きの声が上がっている。
「メールも使えなかったのか」との極端な憶測まで流れているほどだ。そこで、J-CASTニュースでは、経団連に話を聞いてみた。
メールではなく、主に紙でやり取りしてきた
パソコン初設置については、読売新聞の2018年10月24日付朝刊でスタートした連載企画「解剖財界」の中で触れられた。
日立製作所の中西宏明会長(72)は、5月に経団連会長に就任すると、国会改革に賛同を求める自民党の小泉進次郎衆院議員(37)と異例の会談を行うなどした。記事では、中西氏がこれまでの経団連トップと様相を異にするとして、変わりつつある経団連の内情を分析しており、パソコンのことは、その文脈で出てきた。
それによると、経団連会館の23階にある執務室には、中西氏が会長に就任した5月にパソコンが設置され、施策の進捗状況などについて事務局員らとメールでやり取りしている。職員が会長からメールを受け取って、「本当に驚いた」と読売の取材に答えたことも記事で紹介した。それまでは、主に紙でやり取りしてきたからだという。
読売の記事が24日にツイッター上で紹介されると、2万件以上もリツイートされるほどの反響を呼んだ。
「いつの時代の話ですか?笑」「よーそれで回ってたな」「虚構新聞かと思った」...
財界総理ともされるトップのITリテラシーに疑問を呈する声も多かった。
歴代会長も「使えなかったわけではない」ようだが...
一方で、事情を理解しようとする向きもあり、「今まで必要性が薄かったんでしょう」「情報漏れないから紙でよい気もする」との声が出ていた。
経団連の広報本部は、J-CASTニュースの取材に対し、執務室にパソコンが初めて設置されたのは事実だと認めた。
その理由については、「中西会長がデジタルトランスフォーメーションを主張していますので、パソコンを設置して仕事をしたいということだと思います」とした。
それまでは、紙のほか、対面や電話での打ち合わせがメインだったという。秘密保持やセキュリティとは関係ないというが、パソコンが設置されていなかった理由やなぜメールを使わなかったのかについては、広報本部では分からないとしている。
以前の会長が自身のパソコンなどを持ち込んでいたかは確認が取れていないというが、「パソコンなどが使えなかったということはないと思います」と話した。
なお、事務局では、パソコンやメールを使っており、普通の会社と変わらないそうだ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)