安田さん解放に「英雄として迎えないでどうする」 テレ朝・玉川徹氏、「自己責任論」を批判

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   3年に渡ってシリアの武装勢力に拘束されていたフリージャーナリストの安田純平さんが解放されたとの情報を受け、安田さんをめぐる「自己責任」の議論がインターネット上で再燃している。だが、テレビ朝日解説委員の玉川徹氏は「釘を刺しておきたい」として自己責任論を強く否定した。

   玉川氏は2018年10月24日の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で、紛争地帯に飛び込むフリージャーナリストの役割の大きさを力説。安田さんを「英雄として迎えないでどうするんですか」と主張した。

  • 7月に公開された、安田純平さんとみられる映像(Vimeo投稿の動画から)
    7月に公開された、安田純平さんとみられる映像(Vimeo投稿の動画から)
  • 7月に公開された、安田純平さんとみられる映像(Vimeo投稿の動画から)

「フリーのジャーナリストは命を懸けてやっているんです」

   安田さんが解放されたとの情報は23日深夜、菅義偉官房長官が緊急会見を開いて発表。トルコ南部の入管施設で同日に保護されたとの知らせが、カタール政府から届いたという。安田さんであると確認されれば、近く日本に帰国すると見られる。

   安田さんは15年6月、トルコ南部からシリアに入国したことを知人に伝えた後、消息を絶った。シリア取材中にアルカイダ系の武装組織「ヌスラ戦線」(現・シリア征服戦線)に拘束され、何度か映像がインターネット上にアップされてきた。18年7月には2人から銃を突き付けられた状態で、安田さんとみられる男性が「私の名前はウマルです。韓国人です」「助けて」などと話す動画が公開された。

   安田さんをはじめ、紛争地帯で取材するジャーナリストに関する新情報が報道されるたびに、自ら現地に入っていったのだから「自己責任」だとする声がインターネット上では噴出する。だが、こうした風潮に、政治や社会問題などを30年取材している玉川徹氏は「モーニングショー」で、「自己責任論というのを僕は否定しておきたい。釘を刺しておきたい」と反論。「そもそも、ジャーナリストは何のためにいるんだ。民主主義を守るためにいるんですよ」として力説した。

「民主主義といっても国や企業で権力を持っている人たちは、自分達の都合のいいようにやって隠したいんですよ。隠されているものを暴かない限り、私たち国民は正確なジャッジができないんです。それには情報がいるんですよ。その情報をとってくる人たちが絶対に必要で、ジャーナリストはそれをやっているんです。フリーのジャーナリストは命を懸けてやっているんです。一番危ないところに行かれているんですよ、安田さんは。そういう人を守らないでどうするんだ」

「兵士は国を守るために命を懸けます」

   さらに、「たとえて言えば、兵士は国を守るために命を懸けます。その兵士が外国で拘束され、捕虜になった場合、解放されて国に戻ってきた時は『英雄』として扱われますよね。同じことです」と、「兵士」を引き合いに出し、安田さんが解放されて帰国するとなった場合について、

「民主主義が大事だと思っている国民であれば、民主主義を守るために色んなものを暴こうとしている人たちを『英雄』として迎えないでどうするんですか」

と主張した。

   その上で改めて「何ですか自己責任論って。国に迷惑かけたって何ですか。その人たちは民主主義がいらないんですか。僕は敬意をもって迎えるべきだと思います」と、「自己責任」と突き放す風潮を批判した。

   玉川氏は「解放されて国に戻ってきたら『良かったね。命をかけて頑張ったね』と声をかけますよ」とも述べている。安田さん解放情報を受け、同様の考えを表明しているジャーナリストは少なくない。

   戦場ジャーナリストの志葉玲氏は24日未明、ツイッターで「安田純平さん、これまでの水面下の動きでの経緯から考えて、身代金を日本政府が払った可能性は極めて低い。なので、バッシングしないでね」とし、「あと、報道各社も取材したいのは同業者としてわかるけど、まずは安田さんやそのご家族を休ませてあげて」と労いの言葉を投稿した。

   ジャーナリストの布施祐仁氏は23日深夜、ツイッターで「あぁ本当によかった。それしか言葉が出ない。2004年4月の時のことが蘇る」と投稿。当時、イラクで武装勢力によって日本人が立て続けに拉致され、そのうちの1人は安田さんだった。布施氏は続けて、

「ジャーナリストは生きてこそ取材したことを伝えられる。安田さん、生きていて本当によかった」

と安堵している。

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