リアリティーのある「青虫うどん」
今作は、インスタントうどんに「青虫」が混入し、その告発者(演:光石研さん)と東雲らが、ネット社会に翻弄されていくストーリーだ。これはあくまでドラマでの話だが、実際にネットニュースが口火を切って社会問題につながったケースは多々ある。
たとえば、2014年に起きたインスタント焼きそばへの虫混入事件。こちらは大学生がツイッターで、メーカーと保健所とのやりとりを報告したことが発端となった。J-CASTニュースは当時、メーカー広報にいち早くコメントを取り、一連の経緯を報道。同業他社のみならず、テレビや新聞などの既存メディアを巻き込んだ一大騒動となった。当時を思い出させる内容だけに、「青虫うどん」もさもありなんと思える。
「フェイクニュース」制作にあたっては、ハフポスト日本版の記者が「ネットメディア考証」に加わったほか、番組スタッフがネットニュースの関係各所に取材を行っていた。J-CASTニュースの記者の一人にもヒアリングがあったが、このような地道な聞き取りによって、ストーリーの真実味が増したのだろう。
東雲は新聞のデータベースから、過去の報道をひも解いていたが、これも常套手段だ。また怪しいサイトを調べるときには、ドメイン名の確認や、ソースコードのチェックは欠かせない。ニュースと言えば、現場へ行ったり、電話をかけたりの「取材」がクローズアップされがちだが、こうした準備段階にも触れているのが印象的だった。
リアリティーは細部にも現れている。ちょっと専門的になるが、気づいた点を紹介しておこう。ネットニュースでは一般的に、CMS(コンテンツ管理システム)と呼ばれるものに原稿を流し込み、記事を公開する。入稿場面もちらっと映るのだが、そのフォーム画面も作りこまれていた。
イーストポストではデスク作業もCMS上で行うようで、記者入力時は「下書き」だった記事ステータスが、公開直前に「決定」へ。また、このCMS上ではPVの推移も見られるようで、どんな使用感なのか気になった。