「心の傷も残るけど、体の傷も残っちゃう場合がある」
番組では、飯田選手のように棄権するか否かの状況に直面した過去の箱根駅伝ランナーを紹介した。02年の法政大学2区・徳本一善さんは、5キロ通過後にふくらはぎが肉離れ。監督に体をつかまれ、棄権した。番組の取材に徳本さんは「申し訳ないという罪悪感が大きかった。罪悪感は今でも残っている」と話しており、駿河台大学で駅伝部監督をつとめる現在、教え子が同じ状況に直面したら「止めない可能性もある」という。
一方、91年の早稲田大学2区・櫛部静二さんは、本番直前期に食中毒で入院しながら出場すると、区間終盤で意識が遠のき、最後は記憶がなくなったが、タスキリレーは果たした。櫛部さんは番組取材に「タスキをつながないと大変なことになる。(つないでいなかったら)もっと自分を責めていたと思う」としている。だが、城西大学男子駅伝部監督をつとめる現在、教え子を途中棄権させた経験もあるという。
小倉さんは「(タスキをつなげなかった場合)自分があそこでタスキを渡しておけば...と、ずっと(心に)残っちゃうよね」と無理してでも完走しようとする選手の心情を汲もうとしたが、古市氏は
「心の傷も残るけど、体の傷も残っちゃう場合があるわけじゃないですか」
と反論していた。