台湾東部の宜蘭(イーラン)県で2018年10月21日午後に起きた脱線・横転事故では、乗客366人のうち少なくとも18人が死亡し、171人が負傷した。
事故を起こした特急電車「プユマ(普悠瑪)号」の車両は、日本で製造された「TEMU2000型」で、カーブも比較的高速で通過できるタイプの車両だった。事故の原因は調査中だが、台湾では今回の事故を含めて、ここ2年で7回の脱線事故が起きている。車両や線路のメンテナンスの問題など、様々な観点での検証が必要になりそうだ。
台湾東部はカーブが多い在来線への依存度が高い
事故が起きたのは宜蘭線の新馬駅。台湾メディアが報じた事故の瞬間の映像では、かなりのスピードで右カーブに突っ込み、そのまま横転していることがわかる。全8両が脱線し、5両が横転した。台湾当局は10月22日午前の記者会見で、事故発生の30分前から、運転手から「機械の故障が起きた」と連絡を受けていたことを明らかにした。何らかの原因でスピードが落ちなかった可能性があり、複数の台湾メディアは自動列車制御装置(ATC)が切られていた疑いを指摘している。
台湾では、西海岸には高速鉄道が開通しているが、東海岸の交通はカーブが多い在来線への依存度が高く、比較的スピードを落とさずにカーブを走ることができる日本製の車体傾斜式車両が重宝されてきた。07年には、JR九州の「白いかもめ」885系をモデルにした「TEMU1000型」が「タロコ(太魯閣)」号として運行を開始。太魯閣号は主に台北-花蓮を結ぶが、花蓮以南を走る普悠瑪号向けに導入されたのが、今回事故を起こした「TEMU2000型」だ。12年から納入が始まり、13年に運用開始。追加発注分と合わせて152両(19編成)が活躍している。