引退出来ないもうひとつの理由
また、ボクシング界を背負っている自覚を持つ村田自身、引退出来ない理由がある。今タイトル戦の模様は「DAZN」で放送された。料金を払って(月額制)インターネットで試合を観るという、日本ボクシング界にとって新たな試みでもあった。
最近ではボクシングの世界戦が地上波で放送されないことも少なくない。ボクシングの世界戦では、テレビの放映権料が大きな収益源となるため、地上波放送に頼らず、「DAZN」 の方式が定着すれば、選手のファイトマネーアップにもつながる。
村田が引退すれば、「DAZN」の今後のボクシング中継にも影響が出かねない。ケーブルテレビが発達し、ペイ・パー・ビューシステムが定着している米国とは異なり、「DAZN」のようなシステムが日本で定着するには時間がかかるだろう。村田がリングに上がることで、その認知度は大幅にアップし、定着までの時間も短縮できる。
ボクシングの相性でみれば、ブラントと日本で再戦しても内容が劇的に変わることはないだろう。
村田が所属する帝拳ジムの本田明彦会長は「村田の場合は背負うものが大きすぎる。(決断は)簡単じゃない。ゆっくり話し合う。ただやればいいってもんじゃないし、ゆっくり考えるべき。本人がやるって言えば、ダメとは言えない」と去就に関しては本人の意志を尊重する構えを見せた。