ボクシングのWBA世界ミドル級王者・村田諒太(帝拳)が2018年10月20日(日本時間21日)、米ラスベガスで同級3位ロブ・ブラント(米国)に0-3の大差判定で敗れ2度目の防衛に失敗した。村田は試合後、完敗を認めたが、自身の去就に関しては明言を避けた。
ブラントの左ジャブが村田の体力を奪っていった。テンポよく放たれたジャブは一見、軽そうにみえたが、村田の顔面は序盤から腫れあがった。五輪の金メダルを導いた鉄壁のガードは突き破られ、ラウンドが進むとともにポイントも失っていった。3人のジャッジが10-9でそろって村田を支持したのは、5ラウンドの1度だけ。1人が8ポイント、2人が10ポイント差を付ける大差判定負けだった。
ブックメーカー1.17倍のオッズも...
村田のボクシングはガードを固め、ボディーで相手の体力を消耗させ、ガードが下がったところに顔面へのパンチをつなげる。アマチュア時代からここまで貫いてきたファイタースタイルだ。
ただ、村田の場合、べた足で追い脚がない。フットワークを駆使して左右に動き回り、中間距離からスピードのあるジャブ、ストレートを打ち込んでくるタイプとの相性は悪い。これまではマッチメイクの妙で、世界レベルのアウトボクサーとの対戦はなかった。
ブラントは世界3位とはいえ、世界戦での実績がなく、世界的にはほぼ無名の選手。英国の大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」は戦前、村田の勝利を1.17倍と設定するなど、下馬評は村田の圧倒的優位だった。
この一戦で村田が失ったのはベルトだけではなく、米国内での評価も失った。決して世界トップレベルではないブラントにほとんど何もできずに負けた事実は、村田の今後に大きく影響を与える。
現在、世界のボクシング界で一番、人気のある階級はミドル級だろう。WABスーパー、WBCの2つの王座を持つサウル・アルバレス(メキシコ)を軸に、元3団体王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)、ダニエル・ジェイコブス(米国)らスター選手がしのぎを削っている。2度目の防衛戦は、このミドル級戦線の生き残りをかけたサバイバルマッチでもあった。