ブログで引退を表明
福原さんは当時、12歳。二回り上の36歳の小山さんに対して、「あまりにも大人気ない発言」と非難する声が殺到した。ただ、卓球王国でトップに立った小山さんからしてみれば、当時の福原さんの実力は、中国では普通の選手のものに見えたのだろう。
この発言を福原さんが耳にしたかは分からない。もし、12歳の少女の耳に入っていたならばショックは大きかったことだろう。
当時、福原さんを取材する中で、小山さんの言葉を完全に否定することは出来なかった。むしろ、当時の中国のレベルを見る限り、将来、福原さんが五輪でメダルを獲得するのを想像することの方が難しかった。
それからアテネ、北京と2度の五輪を経て、2012年のロンドンで福原さんは悲願のメダルを獲得し、その4年後には銅メダルを獲得した。そして結婚、出産を経て、11月1日の30歳の誕生日を前にして選手として区切りを付けた。
福原さんは引退に際しての心境をブログでこう綴った。
「何度もやめようかと考えたことはありましたが、一度も卓球を嫌いになることはありませんでした。そんな風に思えるものと出会わせてくれた母と兄に感謝の気持ちでいっぱいです。私は生涯卓球人なので、卓球という軸がぶれることは一生ありません」
小山さんのあの日の一言と、福原さんの五輪での2つのメダル。決して忘れられない。
(J-CASTニュース編集部 木村直樹)