ラミレス監督が体現する「メジャー流コミュ力」 退団選手に自ら電話して...

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   DeNAは2018年10月18日、横須賀のベイスターズ球場で秋季練習を開始した。就任4年目となる来季に向けてスタートを切ったアレックス・ラミレス監督。卓越したコミュケーション力で選手との信頼関係を築いてきた指揮官は、秋季練習中にコーチ陣との個別面談で理解を深め、チーム一丸となって悲願の日本一を目指す。

   ラミレス監督はこの3年間、メジャー流を貫いてきた。フロント、現場スタッフ、選手、そしてファンに対して常に敬意を持って接した。16日に報じられた網谷圭将選手とのエピソードは、まさにメジャー流を行くラミレス監督ならではのものだった。

   育成契約の3年目を終え、今季限りでの退団が決まった網谷選手に、ラミレス監督自らが電話をかけ、労いの言葉をかけたという。同じようなことをしてきた日本人監督もいたろうが、このような行為が表立って報道されたことは今まで記憶にない。

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メジャーと日本の「監督」の違い

   ただ、メジャーではそう珍しいことでもない。選手とのコミュニケーション力に長けた監督して有名なのが、2017年シーズンまでナショナルズで指揮を執っていたダスティ・ベイカー氏だ。選手時代はアスレチックスやドジャースで活躍し、22年のメジャー監督歴を持つ。

   球団を去っていく選手、コーチには必ず感謝の言葉をかけるという。また、FAで入団が決まった選手には、いの一番に連絡し、一日でも早くその選手がチームに溶け込めるよう、チームの状況を詳細にわたって説明する。

   これらの行為は多くのメジャーの監督に見られる。なぜならば、それこそがメジャーの監督に求められるものだからだ。

   メジャーの組織は、それぞれの役割、指示系統が明確となっている。オーナーが全権を握り、GMが監督、選手の人事権を握る。そして監督はGMが整えた戦力で、ワールドシリーズ制覇を目指す。

   監督は選手個々の能力、性格を把握した上で戦略を立てシーズンを戦う。監督の資質として求められるのが、コミュニケーション力である。

   メジャーの監督は、たとえチームが負けても決してそれを選手の責任にはしない。敗戦後のインタビューでは、必ずといっていいほどポジティブな言葉しか出てこない。ラミレス監督もよく口にする「Tomorrow is another day」(明日があるさ)。メジャー監督の常套句でもある。

非メジャー流は「覚悟」のコーチ人事

   選手批判同様にメジャーの監督がフロントを批判することは少ない。ラミレス監督もまた、この3年間、フロント批判を一切しなかった。それはオーナー、GMがすべきことと、自身のやるべきことの違いをしっかりと把握しているからである。

   また、メジャー監督にはマスコミの対応も求められる。試合前の記者会見は、地元テレビ局が生放送し、監督の一挙手一投足に注目が集まる。それだけに軽はずみな発言は出来ない。監督は常に自身の発言が選手に与える影響を考えながらコメントしている。

   ラミレス監督がシーズン終了後に「責任はすべて自分にある」と発言したのも、メジャー流のケジメだった。

   選手との接し方、マスコミ対応などメジャー流を貫く一方で、唯一、異なるスタイルを用いるのが現場スタッフ人事である。メジャーでは、監督に一部の現場スタッフの人事権が与えられ、1軍コーチの要に監督の腹心を置くのが常である。

   外国人監督が日本のチームの監督に就任した際には、必ずといっていいほど、外国人の腹心が入閣し、監督をサポートする。だが、ラミレス監督は同胞を起用せず、コーチ陣はすべて日本人である。それはコーチ陣との信頼関係を築くための手段でもある。

   メジャー球団で通訳の経験を持つ元球団職員は「メジャーでは、監督が就任するにあたって、監督が信頼するコーチやスコアラーを引き連れてくるのがひとつの習慣になっています。日本で監督をやったヒルマンやバレンタインもアメリカから腹心を呼び寄せている。ラミレス監督にはそれがない。かなり厳しい環境で監督をやっていると思います」とラミレス監督の覚悟について言及した。

   日本語、英語、スペイン語を駆使して選手とのコミュニケーションを図ってきたラミレス監督。勝負の年となる来季も「Tomorrow is another day」の精神を忘れずにメジャー流を貫く。

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