テイラーのインスタが若者を動かした理由
ソーシャルネットワークでは「投票に行こう」と盛んに呼びかけが行われ、若者から強い支持のある著名人もこれに加わっている。
カントリーポップの人気女性歌手のテイラー・スウィフトは2018年10月7日、沈黙を破り、自身のインスタグラムで1億1200万人のフォロワーに向けて、民主党支持を公表し、中間選挙での投票を呼びかけた。
さらに性的指向や性、人種に基づく差別を厳しく非難、「すべての米国人の尊厳のために闘う意思がない人には投票できない」と訴えた。
これまで政治への言及を頑なに避けてきたことで批判もされたテイラーが、突然、沈黙を破った。今やポップス寄りだが、保守的な白人層に人気があるカントリー音楽の出身だったため、ファンを失うリスクもあることから、投稿は注目を浴びた。
テイラーは「自分自身と、この2年間に世界で起きたこと」で、今回の行動に踏み切ったという。直接、民主党支持を訴えるのではなく、人権問題として捉えたことが、多くの若者を動かした。
テイラーの投稿後、2日間で24万人が有権者登録した。8月1か月分で5万7000人、9月で19万人と比較すると、影響力の大きさが伺える。10月21日現在、210万人以上がこの投稿に「いいね」を付けている。
ニュージャージー州エリザベスに住むサンドラさん(26)は、「これまで政治に関心がなくて、投票も行ったことがなかったけれど、テイラーの発言を聞いて、投票しようと考え直した」と話す。
こうした動きのなかで話題になったのが、高齢者が若者を挑発する異色のキャンペーンだ。 白人の高齢者男女が入れ替わり立ち替わり若者たちに、「投票するなよ」、「天気がよかったら、よくあるくだらないデモにでも行ったらいいわ」と語りかけていく。(この項続く。随時掲載)
(随時掲載)
++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計37万部を超え、2017年12月5日にシリーズ第8弾となる「ニューヨークの魔法のかかり方」が刊行された。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。