NTTドコモが2018年10月17日、新製品発表会を行った。そこで発表された「カードケータイ」(KY-01L)が話題になっている。
厚さ約5.3ミリ、重さ約47グラムの「世界最薄・最軽量」を売り文句に、コンパクトさとシンプルなデザインが目立つ商品だが、なぜここまで注目されているのだろうか。
画面には「電子ペーパー」を採用
カードケータイは、画面にモノクロの「電子ペーパー」を採用しているのが特徴だ。一般的な液晶や有機ELよりも電力消費が少なく、静止画面ではほぼ消費されないとされる。そのため、バッテリーが380mAhながら、連続待受約100時間を実現している。
紙に近い視認性を持つ電子ペーパーは、デジタルサイネージ(電子看板)などでの実証実験が進みつつある。まだ市民権を得ているとは言いづらいが、市販品でもAmazonの電子書籍端末「Kindle Paperwhite」などに搭載されている。
LTE回線を使って高品質の通話ができるVoLTE(ボルテ)や、タブレットなどと接続できるWi-Fiテザリング機能があるのもポイントだ。LINEなどは使えないが、通話とSMS利用に割り切ったユーザーには向いていると思われる。なお、電子ペーパーの特性もあって、スマホほどの表示速度ではないが、内蔵ブラウザでのネットサーフィンも可能だ。
一方で、シンプルにしたぶん、そぎ落とされた機能もある。たとえば、この機種にカメラは配置されていない。またフロントライトが付いていないため、暗いところでは画面が見にくい。ワンセグも見られなければ、「おサイフケータイ」にも対応していない。電話本来の姿に徹する無骨な存在だ。
「小さなもの」に惹かれる日本のユーザー
単機能にして、薄型軽量化を図った携帯電話は、以前から存在していた。たとえば、フューチャーモデル(東京都新宿区)のSIMフリーケータイ「NichePhone(ニッチフォン)-S」シリーズは通話とテザリングに特化し、厚さ9.5ミリ、重さ52グラム(4G対応モデルの場合)を実現している。また、通信方法は異なるが、2012年にはPHS回線を利用した、エイビット(東京都八王子市)の「ストラップフォン」が、ミント菓子「フリスク」と同じサイズとして話題になった。
では、なぜ今回「カードケータイ」が話題になっているのだろう。スマホ/ケータイジャーナリストの石川温(つつむ)さんは18年10月18日のJ-CASTニュースの取材に、背景のひとつには「スマホに飽きている」ことがあるのではと指摘する。また、日本のユーザーが「小さなもの」に惹かれることも一因と語る。
「あと、ドコモが作っている事も大きいのかなと。ドコモがちゃんと作っていて、ドコモのネットワークがつながる。音声通話がメインですけれど、ブラウザも付いているし、SMSも送れるので、必要な機能は満たしているのかなと。当然、スマートフォンとの2台持ちになるんでしょうけれど。人に自慢しやすいアイテムとしても注目を浴びているのかなと思います」
「使わないけどちょっと欲しいぞ」
ツイッターでは、発表会のあった17日午後から、18日午前にかけて、トレンド欄に「カードケータイ」が入り続けていた。反応を見てみると、ビジネス用や2台持ち前提であれば、この小型モデルは「アリ」と考える人は多いようだ。
「何か引かれるなw」
「カードケータイとタブレットがあれば俺は十分そうかもなぁ」
「こんなふうに、いろんな要素をとことん削り落とした端末。こーゆーのがいいんだよ!!」
また、使うかどうかは不明ながら、物欲を刺激されるデジタルガジェットマニアも散見される。
「使わないけどちょっと欲しいぞ」
「多分使わないけど、持ってみたい」
「カードケータイは物欲を満たすガジェットなので買ってもすぐ飽きそうな予感」
機種は11月下旬発売予定。本体価格は3万1752円(税込)で、割引(月々サポート)適用による実質負担額は約1万円となる。