東京五輪中のスーパー台風「想像するのも恐ろしい」 お粗末「外国人対応」策に懸念

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   最大震度7を記録した北海道地震や大阪の台風被害など、この夏に相次ぎ発生した大規模災害では、外国人がさまざまな場所で右往左往している姿が多く見られた。政府は東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年までに外国人観光客を年間4000万人にするとの目標を掲げ、外国人の呼び込みに力を入れているが、災害時の対応が不十分であることが露呈した形だ。「外国人対応は早急に検討すべき課題」と訴える防災専門家は多い。

   2018年9月に発生した北海道地震では、現地の空港や繁華街で「必要な情報を、どうつかめばいいのか」と嘆く外国人があちこちにいた。地震に伴って発生した大規模停電(ブラックアウト)で交通機能はまひし、多くの店は閉鎖。目的地に到達もできなければ、どこで体を休めたらいいかも分からない。一部のゲストハウスが行き場のない外国人を受け入れる動きもあったが、多くは途方に暮れ、空港の固い床に横になって夜を明かす人も少なくなかった。

  • 災害時の外国人対応策が、早急に求められる
    災害時の外国人対応策が、早急に求められる
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「地域防災計画」の対象

   そもそも市区町村が策定する「地域防災計画」は外国人観光客を対象にしていない。市区町村が事前に準備している避難所は、その地域で生活している住民を対象にしたもので、本質的に観光客や働きに来ているサラリーマンらのものではないのだ。

   しかし全国の都市部では現実に、その地域の外から観光に来たり、働きに来たりする「昼間人口」が非常に大きくなっている。東京都心では、昼間人口がその街で住んでいる「夜間人口」を上回る地域さえあるほどだ。当然、住民以外の観光客やサラリーマンらも放っておけない。

   東日本大震災で問題になった「帰宅難民」「帰宅困難者」問題をうけ、こうした人たちを支えるため、規模の大きな自治体は一時滞在施設の整備を進めてはいる。公共施設の一部を充てたり、ホテルなど民間企業に協力を求めたりして収容できるエリアを提供してもらう方式だ。しかし、住民向けさえ避難所が十分に足りていないのだから、一時滞在施設が十分であるわけではない。

「国が統一ルールを作り、民間企業に協力を求めるしかない」との指摘

   だが、各市町村だけで一時滞在施設を十分に確保するのは実際には難しく、「国が、施設整備に関わる統一ルールを作り、民間企業に協力を求めるしかない」(別の防災専門家)といった指摘は当然だろう。

   施設というハードだけではない。東京都は、外国人のための防災訓練を行ったり、外国人旅行者用の防災リーフレットや日本人に支援を求めたりする場合の会話集などをまとめた「ヘルプカード」を作るなど、ソフト面の対応に努めてはいる。ただ、逆に「やっているのはその程度」(防災関係者)というレベルともいえる。

   2017年の外国人旅行者は2800万人を超え、過去最高を更新した。災害時の外国人対応の備えは急務といえる。

   「国をあげて、外国人をどんどん増やそうという政策を必死に進めているのに、いざという時は、彼らを守るために誰も責任をとらないというのが日本の現実。東京五輪の開催中に大地震やスーパー台風が起きたら、どんな状況になるか想像するのも恐ろしい」と、ある防災関係者は話している。

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