準強制性交容疑で再逮捕された慶大経済学部2年の渡辺陽太容疑者(22)=別の暴行容疑で逮捕、処分保留=は、「ミスター慶應」ファイナリストだった。これを機に、改めて「ミス慶應」や「ミスター慶應」に注目が集まっている。
かつて「ミス慶應」は女性アナウンサーの登竜門として知られてきたが、2016年に主催団体の不祥事に中止に。17年は別団体が応募資格を拡大してコンテストを事実上復活させたが、18年にはさらに別の団体がコンテストを立ち上げるなど、迷走が続いている。
「お爺ちゃん孝行」のために出場
渡辺容疑者は16年に「ミスター慶應」に出場。5人いるファイナリストのひとりに選ばれ、当時の「慶應塾生新聞」のインタビューで、コンテスト出場の理由を「一番大きいのはお爺ちゃん孝行のためです」と説明していた。祖父が慶應出身の石原裕次郎さんが好きだったというのがその理由で
「お爺ちゃんの思い描く慶應生に近づくために、コンテストに出場しようと考えました」
と意気込んでいたが、祖父の思い描く慶應生像とは最も遠い行動に走ってしまったようだ。18年10月16日に再逮捕された渡辺容疑者は、各社の報道などによると、9月29日未明、JR横浜駅近くの繁華街の路上で、酩酊状態だった別の大学に通う女子学生(19)を近くの雑居ビルに連れ込んで乱暴した疑いがもたれている。渡辺容疑者は「酔っていたので覚えていない」などと容疑を否認しているという。
ミスター慶應は06年にスタート。09年には現・三代目J Soul Brothersの岩田剛典さん(29)や俳優の古川雄輝(30)が出場し、古川さんがグランプリに選ばれた。今回の件は12年の歴史で最大の不祥事だと言えそうだ。
全裸疾走に準強姦事件...
一方の「ミス慶應」は、「ミスター慶應」よりも歴史が長い分、不祥事の歴史も長い。09年には、主催団体「広告学研究会」メンバーの男子学生9人が、東急東横線日吉駅(横浜市港北区)に隣接する商店街から駅構内にかけての数十メートルを全裸で疾走したとして、公然わいせつ容疑で書類送検された。この影響で同研究会は無期限で活動を停止することを発表し、10年の「ミス慶應」は中止になったが、11年に復活。16年に同研究会の男子学生が集団準強姦事件(不起訴処分)を起こし、団体は解散。「ミス慶應」も中止された。
その後も混乱は続いている。17年には、エンタメサイト「KJ」が「18歳~29歳の現役慶應大生・慶應OG」を対象にしたコンテストをスタート。これが事実上の「ミス慶應」の後継になるとみられたが、18年2月には、有志学生らによる「ミス慶應コンテスト2018実行委員会」を名乗る団体が「ゼロから新しいコンテストを創り上げます」として「ミス慶應」の開催を発表した。慶應の内部で複数のミスコンが乱立するかに見えたが、「KJ」側は8月にツイッターで「諸事情により開催中止とさせていただくことになりました」と発表。結果的にミスコンは一本化された形で、現時点ではファイナリスト7人に対するウェブ投票が行われている。