ドラマ「獣になれない私たち」(日本テレビ系)の第2話が2018年10月17日に放送された。同作はドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)を手がけた脚本家の野木亜紀子さんのオリジナル脚本のドラマで、ダブル主演をガッキーこと女優の新垣結衣さん(30)と俳優の松田龍平さん(35)が務めていることなどで放送開始前から大きな話題を集めているが、第1話と第2話を見終わった視聴者から特徴的な感想が上がり始めている。
作中で新垣さんが演じるのは、仕事が出来るがゆえにポンコツ社員の失敗の尻ぬぐいまでさせられるも、周囲に気を使いすぎるために思いのままに生きることができずにいるキャリアウーマン・深海晶。第2回では労働条件の改善を訴えつつ有給休暇に入るも、同僚の無断欠勤により休日返上で事態に対処する晶の姿が描かれるなどしたが、それらに対し、ネット上では主人公への共感が広がるとともに、「見ているこちらがつらくなるのに、ついつい見てしまう」といった感想が続々と上がっているのだ。
「ガッキーにめっちゃ共感した」
ドラマの放送日となる17日は、同作の放送中からツイッター上を中心に、「主人公の仕事での苦労ぶりがリアルすぎてつらいけど、ドラマはすごく面白い」「ガッキーが搾取されててつらいが、ついつい見てしまう」「ガッキーにめっちゃ共感した」などの感想が噴出。ほかにも、
「つらいけど最高に面白いよーこのドラマ」
「せつないなぁ...つらい...くるしい...でも、みちゃう。このドラマ、面白いぞ...」
「めちゃめちゃ面白いやんけ...つらいけど つら面白い」
といった、ドラマへの高評価と苦痛が入り混じったものが多いのが特徴的だ。本来なら娯楽であるドラマ視聴で「つらい」という感情を発生させてしまうのは本末転倒にも感じられるが、同ドラマを見た視聴者から多数の同様の感想が上がっているのは事実だ。
視聴するという行為が「つらい」にもかかわらず、ついつい見てしまうというのはどういうことなのか。J-CASTニュースが18日、経営コンサルタントで心理学博士の鈴木丈織氏に話を聞いた。
タイトルにこめられたメッセージ
鈴木氏は、「獣になれない私たち」というタイトルには同作の神髄がよく表れていると指摘する。
「『獣になれない』という部分が非常に重要です。今後も主人公の職場への要望は通りそうにありませんが、それでも主人公は職場への勤務を続ける、つまり、『獣にならずに会社に従う』のです。何とも後ろ向きな姿ですが、この姿を見ることで視聴者は『私も変われなくていいんだ!』『変われないのは自分だけじゃないんだ! みんなも変われないんだ!』と、安堵感を得ることができます。安堵感には大きなストレス解消効果がありますから、多くの人がこのドラマに救われているはずです」
今後の展開については、
「現時点では見ていてつらい状況でも、ドラマである以上、今後は明るい展開になっていく可能性はあるわけです。これは、現状に不満があり、今後は良いことが起こることを期待している人にとっては、自分の姿を重ねるにはちょうど良いのです。ゆえに、そのような人は自分を重ねてついつい見てしまうのです」
と分析した。
作中の新垣さんの姿はドラマを視聴する多くの人々の疲れを癒しているようだ。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)