仁徳天皇陵?大山古墳?メディアも混乱 考古学者に見解を聞いてみた

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

教科書表記の変化

   こうした(主に見出しの)報道ぶりに対し、ツイッターでは、

「NHKまで仁徳天皇陵って言ってるが、あれは大仙陵古墳だろ」
「あくまで『伝・仁徳天皇陵』ないしは『大仙古墳』と呼ぶ、と習いました」

といった指摘が相次いだ。一方で、逆の形となる、

「うちの親父は『仁徳天皇陵』は知ってたけど、『大仙陵古墳』は知らなかったみたい」

といった声もあった。

   こうした「差」が生まれた背景には、教科書記載の変遷がありそうだ。朝日新聞の「教科SHOW 中学校の歴史 『仁徳天皇陵』改め『大仙古墳』」(2008年3月27日)によると、日本最大規模の古墳について「『仁徳天皇陵』と習った人も多いはず。この古墳の名称が10年ほど前から、『大仙古墳』などと表記されるようになった」。08年の「10年ほど前」というと、1998年前後、まだ20世紀の頃だ。記事では、考古学者らが「仁徳天皇が埋葬されているか確認できない」として、所在地名に由来する「大仙古墳」などと呼ぶようになり、「東京書籍の表記も変更された」。

   こうした変化について、テレビのクイズ番組などで小耳にはさんだことがある、という人も多そうだ。人気長寿番組「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)へ何度も出演している歴史研究家の河合敦さんも現代ビジネスでの連載(16年6月16日)で、「(教科書で)仁徳天皇陵は『大仙古墳(伝・仁徳天皇陵)』と表記されるようになりました」と紹介している。もっとも、「新しい歴史教科書をつくる会」のツイッターは今回(10月16日)、

「なお、当会の自由社教科書は(略)『仁徳天皇陵(大仙古墳)』で表記しております」

と紹介している。

   こうした表記のバラつきに対し、「まあ、どちらでもいいんじゃない?」という感想を持つ人も少なくなさそうだが、実は国内にとどまらず、世界に影響を与えかねない問題となる可能性がある。

   この焦点の古墳を含む「百舌鳥・古市古墳群」について、政府は1月、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に推薦した。文化庁資料によると、構成資産のひとつとして「仁徳天皇陵古墳」の名称が挙げられている。これに対し、日本考古学協会など13学術団体は9月28日、古墳名称について、現状のままでは「被葬者が認定されているように理解される危惧を覚えます」とし、「構成資産名は、学術的な観点にもとづくものとすること」などを要望する見解を公表し、文化庁などに届けた。「世界的な認知」に関わる点も指摘している。

姉妹サイト