日本企業の脅威となるか、協力できるか
達摩院では、今では世界各地から集まった300人を超える科学者たちが働いており、世界中に研究開発センターが8カ所、ラボが14カ所設置されている。達摩院による国際科学研究協力ネットワークがすでに形成され、清華大学やスタンフォード大学を含む幾つもの国際的なトップクラスの科学研究機構がすべて達摩院の協力システムに加わっている。
人工知能で最も重要なのは、アルゴリズム、データ及び計算力の3つであり、達摩院の張建鋒院長は、人工知能が直面している根本的な核心問題を全て解決し、デジタル化のエコシステムを確立したいと考えている。
達摩院は設立からわずか1年で、特に量子とチップの領域で国際的な業績を成し遂げている。世界最強の量子回路シミュレーターを発表したほか、今開発している量子チップのコストパフォーマンスは世界最高の同種製品の40倍以上とされる。
馬雲氏は、達摩院における研究成果が市場や商業界、社会で生かされることを求めており、達摩院の院長は強いビジネスセンスを備えていなければならないとも語っている。
半導体などの生産の面では非常に多くの技術、ノウハウを持っている日本企業だが、達摩院について日本ではほとんど知られていないようだ。そもそも日本では大企業の研究院はどんどん縮小しており、個人で1兆円以上の巨額の資金を投じて研究院を作ることもあまり聞かない。日本企業にとって、達摩院は脅威となるのか、それとも協力の相手となるのか。筆者は注目している。
(在北京ジャーナリスト 陳言)