タクシーの定額運賃、広がるか 「変動迎車料金」含め実証実験

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   国土交通省は2018年10月1日、全国6都道県の7地域でタクシーの定額運賃、東京都内で変動迎車料金の実証実験を始めた。定額運賃は決められた地点や地域で通常料金の約1割引きでタクシーを複数回利用できるサービスで、「定期券や回数券のように使うイメージ」という。

   変動迎車料金は混雑時に高い料金を払えば優先的に配車を受けることができる見返りに、閑散時は迎車料金を安くする仕組み。いずれも国内のタクシーにはないサービスで、国交省は「実証実験で利用者の反応やタクシー業界に与える影響を見て、本格導入するかどうか検討する」としている。

  • タクシー定額運賃の実証実験を開始
    タクシー定額運賃の実証実験を開始
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高齢者の通院や子供の通学などの利用を想定

   定額運賃の実証実験を始めたのは、十勝中央観光タクシー(北海道帯広市など)、郡山観光交通(福島県郡山市)、白河観光交通(福島県白河市)、大和自動車交通グループ(東京都立川市など)、神奈中タクシーホールディングス(HD=神奈川県厚木市など)、フクモトタクシー(岡山県真庭市)、第一交通産業グループ(福岡県北九州市など)。

   いずれのタクシー会社も高齢者の通院や子供の通学などの利用を想定。利用者とタクシー会社があらかじめ合意した2~3地点間や特定地域内を通常料金より約1割安い料金で複数回利用できる。利用回数はタクシー会社によって異なり、最も少ない白河観光交通で3回、最も多い十勝中央観光タクシーと神奈中タクシーHDが20回。郡山観光交通は指定地域内ならば1か月間「乗り放題」のサービスを始めた。各社とも実証実験は12月21日まで。

   変動迎車料金は、東京都内の日本交通グループ、大和自動車交通グループ、国際自動車グループが都内の限定地域で始めた。現在、3グループの迎車料金は410円だが、閑散時は0円や210円と利用しやすくする一方、混雑時は710円や910円の料金を設定し、410円より高い料金を払えば優先的に配車する。実証実験は11月30日まで。

業界・国交省の実験第4弾

   利用者の減少で利便性の向上を目指すタクシー業界は国交省とともに、これまで(1)初乗りの短縮運賃、(2)事前確定運賃、(3)相乗り運賃――の実証実験を行なっており、今回の実験が第4弾となる。このうち、東京都内の初乗り運賃は従来の2キロ730円が1052キロ410円となる短縮運賃が2017年1月に本格導入され、ちょい乗り需要が増えた。このため名古屋市、福井市、京都市も東京都内と運賃体系は異なるものの、同様の短縮運賃を導入した。

   全国ハイヤー・タクシー連合会は「定額運賃は地方の高齢者の通院や子供の塾通いなどが想定される。1割引きでどれくらい需要を喚起するかテストしたい。変動迎車料金も都会では需要があるはずだ」と話している。

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