待機児童「4年ぶり減」でも全く安心できない理由

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幼児教育無償化で「潜在的需要が顕在化」か

   安倍晋三政権は2017年度末に待機児童をなくすとしていたが、達成の見通しが立たず、17年に「20年度末まで」に先送りした。これを達成するためには32万人分を追加整備する必要があるというのが政府の試算で、厚労省が市区町村の計画を集計したところ29万3000人分の見通しがついているという。これなら、もう一息と思えるが、そう簡単ではないとの見方が強い。

   まず、用地や保育士が足りない。東京都区部など大都市では土地がたりず、公園や小学校の校庭などを使うなど厳しい対応を迫られている。施設ができても、保育士不足も深刻で、保育士を確保井できなかったために開所を遅らせたり、定員をカットしたりするケースもある。自治体間で人材奪い合いの様相を呈し、東京都が独自に保育士賃金を月4万円超補助する制度を設けたあおりで、千葉県などでは人材獲得競争で後れを取っているという。

   併せて保育の質の低下への懸念もある。物置などのスペースを組み込んで面積基準をクリアして定員を増やすといった対応をする保育所もある。園庭がなくても近くの公園などを代わりに使う保育園も認可するという規制緩和で、園庭なし保育園が全国的に増えている。

   安倍政権の幼児教育無償化で、潜在的需要が顕在化し、待機児童が増えるとの指摘もある。

   野村総合研究所は小学校入学前の子どもの母親約4000人を対象にしたアンケートと国勢調査などを踏まえた推計を今18年夏にまとめている。それによると、申し込みを諦めた人を含め、希望したのに保育所に入れていない人は4月時点で推定34.8万人と、厚労省のまとめた隠れ待機児童約6.8万人を大幅に上回る。19年10月に導入される幼児教育・保育無償化が実施されると、こうした今は保育サービスを利用していない家庭の潜在的な需要を掘り起こす可能性が高いと指摘する。

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