待機児童「4年ぶり減」でも全く安心できない理由

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   希望しても認可保育園などに入れない待機児童が、4年ぶりに減少に転じた。厚生労働省がまとめた2018年4月1日時点の待機児童数は前年から6186人減って1万9895人となった。2万人を下回るのは、実に10年ぶり。国の補助で「企業内保育所」整備を促すなど、都市部で受け皿は増えた。ただ、土地や保育士は不足しているほか、幼児教育の無償化で潜在的な保育需要が表に出てくる可能性もあり、政府が掲げる「2020年度末までにゼロ」への道のりは容易ではない。

   今春の認可保育所などへの利用申込者は約271万人(前年比約6万人増)と、過去最多だった。総定員も前年から10万人近く増えて約280万人となり、全体では総定員が利用申込者を上回る。ただ、都市部に希望者が集中し、待機児童は解消されない状態が続く。

  • 待機児童の解消には、保育人材の確保が重要なポイントとなる
    待機児童の解消には、保育人材の確保が重要なポイントとなる
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保育士不足の影響

   都道府県別の待機児童数は、東京都は前年より3172人減と大幅に減ったが、なお最も多い5414人と、全体の3割近くを占めた。以下、兵庫県(1988人)▽沖縄県(1870人)▽埼玉県(1552人)▽千葉県(1392人)と続き、以上5都県が1000人を超えた。

   1741市区町村のうち待機児童がいるのは前年から15増えて435、うち100人以上いる自治体は48あった。首都圏、近畿圏で多く、他の政令指定市、中核市を含めた「大都市部」で計1万3930人と70%を占めた。前年トップの世田谷区は、今年は486人で3位。兵庫県明石市(571人)が初めてトップになり、岡山市(551人)が続いた。4位は江戸川区(440人)、兵庫県西宮市(413人)が5位だった。増加数が最も多かったのは、さいたま市で、前年のゼロから315人になった。神戸市(239人増)などは、親が育休中でも待機児童に数えるよう定義を厳しくしたことが響いた。

   年齢別では0~2歳児が1万7626人で全体の9割近くを占めたが、3歳以上の児童と比べ手がかかり、保育士不足の影響をもろに受けている。

   また、認可保育所などに入れなかったが、兄弟姉妹と同じ園を希望するといった理由で待機児童にカウントされない「隠れ待機児童」は6万7899人(前年比1325人減)と、なお高水準だ。

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