「両政府の立場を尊重する」と明記
まず、交渉にあたって「両政府の立場を尊重する」として、日本は「農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限である」、米国は「自動車について、自国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものである」ことを明記した。
また、両国は「信頼関係に基づき議論を行い、協議が行われている間、この共同声明の精神に反する行動を取らない」と明記した。安倍首相は「日本の自動車に対して追加関税が課されることはないことを確認した」と強調した。
これらにより、当面、日本は自動車への追加関税を回避できたことになり、また、農業の自由化はTPP水準までという枠をはめたと説明できる。一方、米国は協議の結果が国内自動車産業の発展に資するものでなければならないということで、「実効がなければ自動車関税をまた持ち出す可能性に含みを持たせたもの」(大手紙経済部デスク)と考えられる。
さらに、「サービスを含む他の重要分野で早期に結果が出るものについて交渉を開始する」「TAGの議論が完了した後、他の貿易・投資の事項についても交渉する」ことも謳っており、「TAG自体はモノに限るとしても、その先を考えれば実質的には、投資やサービスの自由化にも範囲が及ぶなFTAと同じ」(エコノミスト)と指摘される。