初期の肺がんであることを公表した落語家の三遊亭円楽さん(68)が、手術を終えて退院し、報道陣の前に元気な姿をみせた。
約3か月前に亡くなったばかりの桂歌丸さんを引き合いに出し、がんだと分かった際には「師匠が呼んだんじゃないかと思った」とし、「『ふざけんな、じじい!』って言ったよ」と、人気番組「笑点」でのかつての「毒舌バトル」を彷彿とさせる語りを披露し、記者らを笑わせていた。
退院後、メディア取材に応じる
円楽さんは2018年10月12日午後、茶色の長袖シャツ姿で報道陣の前に姿をみせた。肺がんの手術のため約1週間入院していたが、11日に退院。この日、自身で運転する車から降りたところで取材に応じた。時折笑顔を見せながら、手術は「大成功」だったと説明し、転移もないそうだ。話が「がんだと分かった時の心境」に及ぶと、
「オレは歌丸師匠に呼ばれた、と思ったもん」
と、7月に81歳で肺炎のため亡くなった歌丸さんに触れると、周囲の記者らからは「ハハハハ」と、はっきり聞こえる笑い声がもれた。歌丸さんが亡くなった直後に放送された「笑点」追悼特別版で、自身が「早すぎるんだよ、じじい!」と呼びかけたことにも触れつつ、
「今度は、歌丸師匠が(オレを)呼んだんじゃないかと、『ふざけんな、じじい!』って、まじで言ったよ。笑点なみに」
と笑顔で語った。円楽さんの「じじい!」発言は、歌丸さんが生前に「笑点」へ出演していた頃に何度も飛び出し、2人の絶妙な「毒舌バトル」のひとつの象徴ともいえる言葉だ。
しかし、話はそこでは終わらなかった。こうして無事に手術を終えたことで、
「戻ってこられたということは、歌丸師匠が呼んだんではなくて、(がんを)見つけてくれたんだって思ってるんだよ。お前はまだ、こっち来ちゃいけない、とね」
と、「じじい」から一転、感謝の言葉に。がんの発見が遅れたり、見逃されたりしていれば、
「向こう(あの世)へ行ってたかも。進行早いから」
と、しみじみとした様子で語った。先ほどまで声を出して笑っていた記者らも、静かに聞き入っていた。