「ブラックマンデーは繰り返されるのか」――。2018年10月10日夜から11日未明(日本時間)にかけて、米国株が突如、急落した。ダウ工業平均株価は、ひと晩で前日比1100ドル以上の値下がりとなった。
これを受けて、11日朝の東京株式市場では日経平均株価が大幅に下落。終値は、前日比915円18銭安の2万2590円86銭で引けた。中国・上海や香港などアジアの株式市場も軒並大きく下落。その流れを受けた欧州市場も下落して取引が始まっており、米国株の「暴落ショック」が世界的に連鎖する展開になっている。
米国株 約10年間、右肩上がりの「異常」
2008年10月のリーマン・ショック後の09年3月を底に、この10年間、右肩上がりが続いた米国株バブルも、とうとう崩壊するのだろうか。
10月4日の米ニューヨーク株式市場は、米国の重要指標(ADP雇用統計・ISM非製造業景況指数)が市場予想を大きく上回る好結果だったことで、連日の大幅上伸を演じ史上最高値を一気に更新する高値、2万6789.08ドルを付け、2万7000ドルまであと数十ドルまで迫った。株価上昇に沸き沸いていただけに、史上3番目の1100ドルを超える下落幅には、市場関係者らの驚きを隠さない。
米国株の暴落は、長期金利の上昇や米中貿易戦争への懸念から全面安の展開になったことが原因とされる。
とはいえ、市場の見方は真っ二つに割れている。そもそも、リーマン・ショック後の10年間もの長期にわたり、上昇してきた米国株相場が異常さは指摘されてきたところ。「最高値を更新している今だから、利益確定売りが出ても不思議なことはない」(市場関係者)と、ついに「相場の潮目が変わる」との見方だ。
では、誰が売ったのか――。ある個人投資家は、投資ファンドの存在を指摘する。「米投資ファンドは10月が決算月にあたるため、利益を確定しておきたい事情があります」と話し、それが一気に起こったのではないかと推察する。
米国では9日夜から10日朝にかけて、米小売り大手のシアーズ・ホールディングスが破産申請に向けて準備を進めていることが明らかになっており、悪材料がそろってしまったようだ。
急落後も「時間をかけて上昇」
その一方で、市場関係者のあいだでは「短期的な相場の調整」と、楽観視する見方もある。「今回のような急落は、長くマーケットと付き合っていればそう珍しいことではない。実際に、18年2月にも急落はあった。その時は1月の高値から2月前半の安値までで、ダウ工業平均は3000ドル以上も値下がりしている」と指摘する。
しかし、米国株はその後もみ合いを続けた後、時間をかけて再び上昇。10月4日の高値更新までのぼり詰めた。
日本株も、米国株も、2011年のギリシャ金融危機、15年8月のチャイナショック、16年2月と18年2月の原因不明の急落などに見舞われながら、時間をかけて上昇してきた。今回の急落を即バブル崩壊のはじまりと結びつけるのは「早計に過ぎる」というわけだ。
「長く調整が入らなかったのだから、それが入っただけ。むしろ、この下落をチャンスに仕入れ(買い)のタイミングと考えたほうがいいかもしれない」(市場関係者)