地下鉄の車内、男性客が傍若無人に大股を広げて座る。そこにツカツカとやってきた金髪美女、ペットボトルを取り出すと、いきなり男の股間に液体をぶっかけた――。
「ロシアのフェミニズム活動家による、男性への抗議活動」。そんな触れ込みで拡散したこの動画は、世界中で反響を巻き起こした。共感の声もあった一方で、あまりにも過激な女性の振る舞いには、眉をひそめる向きが強かった。
ところがこの動画、実は「やらせ」だったのでは、との疑惑が浮上している。しかも、その黒幕はプーチン政権かもしれない、というのだ。
被害者が「金もらって演じた」と発言
「プーチンのジェンダー戦争?」(英ザ・サン)
「クレムリンのプロパガンダ」(英デイリー・メール)
こうした見出しが、海外メディアを相次ぎ飾っている。
疑惑の起点となったのは、ロシアのネットメディア「Bumaga」だ。動画中で液体をかけられた男性の一人を発見、彼が「金をもらって演じた」と暴露したことをすっぱ抜いたのである。
EUがロシアによる「デマ」への対抗のため立ち上げたキャンペーンサイト「EU VS Disinfo」は2018年10月8日(現地時間)、これらの証拠を元に問題の動画が「やらせ」だと指摘した。さらに、拡散に関わったメディアが、実質的な国営媒体「RT(ロシア・トゥデイ)」の系列にあるとし、問題の動画が、プーチン政権の政治工作だ、と主張している。
しかし、いったい何のために?